研究プロジェクト

 電気エネルギー制御研究室では,

安定で良質な電気エネルギーの供給,

有効な電気エネルギー利用技術の開発と電気エネルギー制御システムの制御則自動獲得

を目指して以下の研究を行っている。

電力平滑化
電気二重層コンデンサを用いた電力貯蔵装置による太陽電池の電力変動平滑化に関する研究
 地球規模の環境問題やエネルギー資源減少の視点から太陽光発電システム(PVシステム)の導入が進められており,国内では系統連携型システムの普及が進んでいる。しかしPVシステムは,雲の移動による日射量変動に伴い,出力電力が秒オーダーで変動することが明らかとなっている。そのため,多数のPVシステムが電力系統に連携された場合,日射量変動によりPVシステム全体の出力変動が大きくなり,系統電圧の品質に悪影響を及ぼす可能性がある。
 本研究では,低電圧・大容量の充放電特性を特徴とする電気二重層コンデンサをPVシステムの直流側に組み込み,移動平均法による電力平準化制御を行うことで,PVシステムの出力変動を平滑化するための制御方法について研究を行っている。
太陽光発電システムにおける電気二重層コンデンサを用いた電力貯蔵に関する研究
 地球規模の環境問題やエネルギー資源減少の視点から太陽光発電システム(PVシステム)の導入が進められており,国内では系統連携型システムの普及が進んでいる。しかしPVシステムは,雲の移動による日射量変動に伴い,出力電力が秒オーダーで変動することが明らかとなっている。そのため,多数のPVシステムが電力系統に連携された場合,日射量変動によりPVシステム全体の出力変動が大きくなり,系統電圧の品質に悪影響を及ぼす可能性がある。
 本研究では,
直流送電 アクティブ・パッシブ併用キャパシタ転流型変換器

 近年,直流送電が世界各地で広く用いられるようになった。直流送電の実現として,スウェーデンのゴットランド,ブラジルのイタイプ,カナダ・アメリカ間のケベック・ニューイングなどがある。一方,我が国では,徳島−和歌山間の紀伊水道に直流送電システムが計画され,2000年に運用が開始された。これらの直流送電用交直変換器として三相サイリスタ整流回路を用いた他励式変換器が一般に用いられている。
  本研究では,電圧形PWMコンバータを整合用トランスを介して直列に接続し補助転流キャパシタとして動作させるアクティブキャパシタを用いたアクティブ・キャパシタ併用キャパシタ転流型変換器を提案している。

電力平準化 超電導エネルギー貯蔵装置を用いた電力変動平準化制御に関する研究
 三相電力系統から交流電気鉄道の大容量単相電力を使用すると電源側に不平衡や電圧変動を生じる。そのため,容量の大きい電源から受電するとともにスコット結線変圧器などによって三相電力を2組の単相電力に変換し,方面別にき電して,電源への影響を低減している。しかし,電気車の高速化に伴う電力回生ブレーキの導入や負荷電流の増加に伴い,一般的には平衡しない場合が多い。そこで本研究では,超電導エネルギー貯蔵装置(SMES)を用いて,三相電力平準化,三相不平衡補償,無効電力補償を行う方法を検討している。
遺伝的アルゴリズムを用いた電力変動平準化制御システムの最適化
 製鉄圧延工場の負荷電力は,時間とともに大きく変動する。この負荷のピーク電力が大きいほど,より大きな容量の設備が必要となる。また,変動が大きいほど送電での電力損失が大きい。そこで,SMESを設置し,電力の平準化を行えば,電力設備容量と電力損失が低減できる。しかし,SMESは製作コストが高いため,SMES容量の低減が望まれる。そこで,遺伝的アルゴリズム(GA)を用いて,小容量のSMESで電力変動の平準化制御が可能なファジー制御のスケーリングファクタの探索方法を研究している。
改良型正弦波インバータ バックブースト動作を用いた正弦波インバータ

 電力変換回路は,スイッチングにより電力を変換する。これらは,直流から交流,直流から直流,交流から直流および交流から交流にそれぞれ変換される。また,入力電圧と出力電圧を考慮すると,昇圧形,降圧形および昇降圧形の三方式に大別される。バックブースト(昇降圧形)動作をインバータに用いると,入力電圧が変動しても実効値一定の交流出力電圧を得ることができる。このため,クリーンで無尽蔵あることから,今後重要なエネルギー供給源として注目されている太陽光発電システムなどに用いるインバータとして有用であると考えられる。この太陽光発電システムは,日射量に応じてMPPT(最大電力追従制御)が行われているが,これは太陽電池の出力変動をもたらす。
  本研究では,先に提案されているバックブースト動作を用いた昇降圧可能な単相正弦波インバータにおいて,その有効性を計算機シミュレーションにより確認している。出力電圧・電流,出力電力制御可能領域および入出力特性を検討し,本年度は実験装置を構成するための回路定数などの具体的検討を行っている。

太陽光発電用系統連係インバータの開発に関する研究
準備中
水質改善 凝集剤製造装置に用いる低電圧大電流電源の制御法に関する研究
 近年,河川や貯水池などの水質汚濁が顕著となり社会問題となっている。このような水域内では,健康や環境に悪影響を及ぼす有機物や無機物などの不純物が溶解している。汚濁水から不純物を除去する方法として,電気分解により鉄電極から溶出させた金属イオンを凝集剤として用いる方法が提案されている。
 本研究では,鉄電極を用いた凝集の効果について,不純物の沈降時間に電流値が与える影響について実験により検討している。
高調波電流補償 相関関数を用いた家電機器が発生する高調波電流補償法

 近年,高効率・高性能な電力用トランジスタやダイオードを利用した半導体電力変換器が広く利用されるようになり,これらを用いたテレビやパソコンなどの家電機器から発生する高調波電流が問題となっている。これらの機器の多くは,コンデンサインプット形整流回路を内蔵した高調波発生源である。電源が電圧現と電流源に分類できるのと同様に,高調波発生源も高調波電圧源と高調波電流源に分類できる。
  本研究では,単相回路における高調波電流検出法として相関関数を用いて,電源電圧と負荷電流に関する実時間信号のノルム,内積,相関関数を求め,この相関関係から電源電圧に対する有効電流・無効電流を検出する方法を提案し,計算機シミュレーションにより有効性を確認した。また,柱上変圧器の低圧側に一巻線を設置し,家電機器と並列に単相電圧形アクティブフィルタを接続する方法を提案した。今年度は,実験により検討を行い,提案方式の有効性を確認していく予定である。

アクティブフィルタ機能を有する分散電源の制御方式に関する研究
 本研究では高調波補償装置であるアクティブフィルタを電源を用いて構成することにより,アクティブフィルタ機能を有する分散電源システムを提案する。電源として次世代自動車にも使用される燃料電池を想定している。燃料電池は,水素と酸素を反応させて電気エネルギーを発生させる発電装置で,総合効率は60〜80%と高く,環境に優しいという特長がある。これにより家電機器から発生する高調波電流を抑制しながら,一般家庭へ電力を供給することが可能となる。今年度は,シミュレーションによりシステムの有効性を確認する予定である。
無効電流検出 移動積分を用いた無効電流検出法とその応用に関する研究
準備中
電気設備保護 小容量電圧形PWM変換器を用いた変圧器の突入電流抑制法
 変圧器に不用意に電圧を印加すると,電源電圧位相によっては変圧器定格電流の数倍から十数倍に達する突入電流が発生することが知られている。突入電流が発生すると,例えばビルや工場などの受電設備の電流遮断機などの誤作動を引き起こし,ビルや工場などが停電するなどの問題があった。この対策として本研究では,電圧形PWM変換器を電源と突入電流が発生する可能性がある主変圧器の間に整合用変圧器を介して直列に接続し,制動抵抗として動作させて突入電流を抑制する方法を提案し,昨年度までに電磁過渡解析シミュレータPSCAD/EMTDCを用いて計算機シミュレーションを行い,提案方式の有効性を明らかにした。本年度は,実験装置を構成し実験による検討を行っている。
小容量電圧形PWMコンバータを用いた大容量インバータシステムの直流主回路共振抑制法
準備中
トレッドミル 運動者の身体状態に適用可能な電動トレッドミルの制御法に関する研究
企業との共同研究中のため,具体的な内容については非公開。
移動ロボット 移動ロボットの走行経路生成法に関する研究
 近年,さまざまな産業において無人搬送車が利用されており,特に半導体工場や複写機組立工場,製紙工場などでは製品搬送のために使用されている。無人搬送車では,あらかじめ定められた経路上の走行を目的としており,全ての経路をテープなどで構成していた。しかし,近年は用途が多様化しており,移動ロボットを使った搬送が検討されている。
 本研究では,スプライン関数を用いた経路生成法で走行シミュレーションを行い,その結果を元に移動ロボットを用いた実験によりその有効性を実証することを目的としている。
ゼオライト 高周波インバータを用いたゼオライトの加熱に関する基礎的研究
島根県に埋蔵している天然鉱石であるゼオライトは通常は水分を吸着しているが,水分を排して乾燥させると窒素を吸着する性質がある。この天然ゼオライトに乾燥状態で空気を送り込むと,窒素を除去し酸素だけを取り出すことができる。これまで,天然ゼオライトはガスバーナーなどを用いて乾燥していたが作業環境が悪いなどの問題があった。そこで,高周波インバータを用いたInduction Heating(IH)を用いて金属のキュリー点に着目した電気的乾燥法について研究を行っている。平成14年度は,基礎的検討を行い,今年度は酸素発生装置に使用される“ゼオライト筒”の形状を考慮した実用化を目指した研究を行う。なお,本研究は地元企業と一部上場企業との共同研究である。

最終更新日:2003年6月1日


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