【第13回】

<内容>

1.  ラウス・フルビッツの安定判別法

【安定性の定義】

  eq1

 系の伝達関数G(s) が上式のように与えられるとき,「分母多項式=0」とおいた特性多項式の根特性根),すなわち,G(s) pi, i=1,2,,nの実部が全て負であることが,系が安定であるための必要十分条件となる

  図面1.jpg

 

 

1.1  フルビッツの安定判別法

特性多項式の係数を用い,以下のnn列のフルビッツ行列式Hnを作る.

  image013.jpg

ただし,存在しない係数は0とおく.また,Hi次主座小行列をHi とすると

  eq5

となる.ここで,Hnの第n列の構造より,Hn = a0 Hn-1となることに注意せよ.

 

系が安定であるための必要十分条件は,特性多項式の係数が全て正で,かつ,

  H1 > 0, H2 > 0, , Hn > 0

である.Hn > 0の判定は,Hn = a0 Hn-1 より省略できる.

 

 ラウス表の第1列とフルビッツ行列との間には関係があり,両者の方法は等価性をもつ.したがって,両者をまとめてラウス・フルビッツの安定判別法と呼ぶ.計算量の点で言えば,ラウスの方法の方が,行列計算を伴うフルビッツの方法より圧倒的に有利である.

 

 

1.2  安定度を指定した判別法

Re[pi] が小さい程,すなわち,-∞に近づく程,収束が速くなる.したがって,

  図面1.jpg

という基準を用いれば,より安定度の高い安定性を判別できる.すなわち,与えられた特性多項式のss + a で置き換えて得られるs に関する特性多項式に対してラウス・フルビッツ安定判別法を適用すればよい.

 

 

2.ナイキストの安定判別法

2.1  閉ループ系の安定条件

  

 

 上図の閉ループ系の安定性を,一巡伝達関数開ループ伝達関数G0(s) = G(s)H(s) の周波数応答G0(jw) から判定するナイキストの方法について説明する.

 

【仮定】

 1. G0(s)はプロパーである.

 2. 閉ループ系の伝達関数 図面1.jpg はプロパーである.

 3. G(s) H(s) との間に不安定な極零相殺がない.

 4. G0(s)の極は虚軸上にない.

 

このとき,閉ループ系が安定となるための必要十分条件は,G0(s) のナイキスト軌跡が -1 + j0 のまわりをG0(s) の不安定極の数だけ反時計回りに回転することである.ただし,ナイキスト軌跡は -1 + j0上を通過しないとする.

 

 

2.2  位相余裕とゲイン余裕

 ナイキストの方法は,G0(jw) を種々の w について計算するので,ラウス・フルビッツの方法に比べて多くの計算を必要とする.しかし,この方法は制御系の安定度を評価できるという利点を持つ.すなわち,位相余裕fM ゲイン余裕GM である.以下に,ナイキスト線図とボード線図における,位相余裕とゲイン余裕を図示する.

  図面1.jpg     図面1.jpg

 

wP ゲイン交差周波数wQ 位相交差周波数と呼ぶ.ボード線図は w を読みとりやすいので,制御系設計には良く用いられる.

 

 

<演習>

1.ラウス・フルビッツの安定判別法

11フルビッツの安定判別法

 フルビッツ行列式(教科書p.146)に基づいて,安定判別を行う.

 

 

練習13-1

 フルビッツの安定判別を行う関数hurwitzを記述したMファイル「hurwitz.m」を作成した後,例題3.43(教科書p.149)を行い,結果を確認せよ.

注)実行結果のdは横ベクトルで表示される.教科書では縦ベクトルとなっているが,これはOctaveのバージョンの違いによるものである.

 

hurwitz.mの解説>

¨         det(A)は行列Aの行列式を計算する関数である.

¨         h( 1 : i, 1 : i )は,行列hの第1i行,第1i列の部分行列を与える.

 

 

12.安定度を指定した判別法

 ある特性多項式に対し,特性根の実部をa 分大きくした特性多項式を求める.その特性多項式に対して安定判別をして安定であれば,特性根は最低でもa 分だけは虚軸から左に存在していることになる.すなわち,a の安定度を保証することができる.

 

 

練習13-2

 式(3.57)の係数を計算する関数shift1を記述したMファイル「shift1.m」を作成し,例題3.44(教科書p.150)を行い,結果を確認せよ.

 

shift1.mの解説>

¨         b = [ 1  a ] ( s + a ) を意味する.

¨         P( 1, : ) には [ 0  0  1 ] P( 2, : ) には [ 0  0  1  a ] P( 3, : ) には [ 0  1  2a  a2 ] が入る.すなわち,P( n+1, : ) には ( s + a )n の多項式の係数が入る.例えば,n=3のときは,下記の通りとなる.

   

 

1

2

3

4

P(1, :)

0

0

0

1

P(2, :)

0

0

1

a

P(3, :)

0

1

2a

a2

P(4, :)

1

3a

3a2

a3

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

2.ナイキストの安定判別法

21.閉ループ系の安定条件

 ナイキストの安定判別法によって,閉ループ系の安定判別を行う.

 

 

練習13-3

 例題3.45(教科書p.155)を行い,結果を確認せよ.

(注)tf2sysではなくtfで伝達関数を入力すること.

  軸目盛の設定は,axis([-6, 1, -4, 4])のように,間にカンマを入れること.

  replotならびにaxis('auto')は不要.

 

 

練習13-4

 例題3.46(教科書p.156)を行い,結果を確認せよ.

(注)tfではなくtf1で伝達関数を入力すること.

  現在のシステムでは,closeplotの代わりにcloseを使用する.

  plotの前にxlabelylabelaxsisgridがあるが,これらはすべて,plotの後に書くこと.

  凡例を示すlegendコマンドを最後に追加すること.

  axis('auto')は不要.

  システム既存の関数を使用する場合は,伝達関数をtfで入力し,nyquistを用いればよい.

 

 

22.位相余裕とゲイン余裕

 制御系の安定度の評価として用いられる位相余裕とゲイン余裕を計算する.

 

 

練習13-5

 位相余裕を求める関数pmarginを記述しているMファイル「pmargin.m」ならびに「gain.m」と,ゲイン余裕を求める関数gmarginを記述しているMファイル「gmargin.m」ならびに「phase.m」を作成し,例題3.47(教科書p.157)を行い,結果を確認せよ.

(注)tfではなくtf1で伝達関数を入力すること.

 

pmargin.mの解説>

¨         |G0(jw)|-1 = 0となるゲイン交差周波数 wP を求めている.

¨         fzero( fcn, r ) は,関数fcn(x)を探索区間r = [ a, b ] について二分法によりfcn(x) = 0 となるxを求める関数である(教科書p.51参照).

¨         この関数を実行するには,gain.mMファイルが必要である.

¨         関数Gは伝達関数の値を計算する関数である(教科書p.132参照).これは非プロパーな伝達関数も扱うことができる.(既に,G.mMファイルは作成しているはずである.)

¨         angleは複素数の偏角,すなわち位相を求める関数である.ただし,得られる値の単位は[rad]である.

 

gmargin.mの解説>

¨         G0(jw) + p = 0となる位相交差周波数 wQ を求めている.

¨         この関数を実行するには,phase.mMファイルが必要である.

¨         absは絶対値,すなわちゲインを求める関数である.

 

gain.mの解説>

¨         |G0(jw)|-1 の値を与える関数である.

 

phase.mの解説>

¨         G0(jw) + p の値を与える関数である.

 

注)

¨         システム既存のmarginコマンドにより,これらを求めることもできる.

>> g0 = tf(1,[1 1.5 1.5 1]);

>> [gm,pm,wq,wp] = margin(g0)

 

 

問題13-1

 問題1(2)(教科書p.160)を行え.

【答え】

(2) 一巡伝達関数の極は以下の通りで,不安定極は2個.

  -0.9734 + 0.7873i

  -0.9734 - 0.7873i

   0.4734 + 1.0256i

   0.4734 - 1.0256i

 

 ナイキスト線図は以下の通りとなり,軌跡が -1 + j0 の回りを反時計方向に2回転しているため,閉ループ系は安定である.

図面1.jpg

 

 

問題13-2

 問題2(2)(教科書p.160)を行え.

【答え】

 位相余裕fM = 44.0607°,ゲイン交差周波数wP = 0.4238[rad/s],ゲイン余裕GM = 4.0,位相交差周波数wQ = 1.0[rad/s]

 

 

【レポート課題(12)(授業終了後にアップロード)

  RePORT