伊藤(文)・張研究室へようこそ(レーザ計測・光ファイバ計測)

ホーム

メンバー

研究

講義

業績

フォト



島根大学HP

総合理工学部HP

機械・電気電子領域HP

●光ファイバ通信・光ファイバセンサ網

光ファイバは1本で10テラビット/秒という膨大な信号を送ることができます。本研究室では、このような超高速な世界を見るための道具を研究しています。

また、光ファイバ自体をセンサとして用いることで、1か所に測定器を置くだけで、歪や温度を分布的に測定することができます。これを利用して、大規模な災害を事前に検知したり、構造物の劣化を予測することが可能になります。

 

●光ファイバ反射計・光反射計(レーザ光を使ったレーダー)

レーダーのように、パルス信号を対象物にぶつけ戻ってくるまでの時間を測ることで対象物までの距離を測る装置を、光学分野では”反射計”といいます。光(ファイバ)反射計は、光ファイバや光デバイスの中でのレーザ光の”散乱現象”を分布的に観測する道具です。本研究室では、光反射計の距離分解能(どのくらい細かい距離で分析できるか)、距離レンジ(どのくらい遠くを見れるか)を拡大するための研究を行いその応用を探求しています。

ブリルアン散乱やレイリー散乱を観測すると、光ファイバに加わる歪や温度を知ることができます。 光ファイバを構造物に敷設して光ファイバセンサ網として使うことで、構造物のヘルスモニタリングが可能です。

レーダと光ファイバ反射計

●LiDARを用いた光三次元計測

インダストリー4.0の台頭と共に,スマートファクトリーの重要性が高まっている。このような自律した生産システムの実現の一環として,機械が工業製品の外観検査を実施する過程があり,そこで三次元レーザスキャナの利用が拡大している。また,高品質で繊細な形状や表面等を評価するためには,高精細で信頼性の高い検査機器が必要であり,こうした役割も三次元レーザスキャナ(LiDAR: Light Detection And Ranging)が担うことが期待されている。特に高い測定精度が要求される工業製品の外観検査においては,従来はノギスやマイクロメータ等による接触方式が用いられていた。ところが,これらの手法は人的労働に依存しており,長い計測時間が伴い,効率も低い。そこで近年,形状計測は超音波,高周波,光波等を用いた非接触方式に移行するようになった。これらの中で,光波を用いた計測手法は高精細な三次元形状を取得する能力を有しており,学術的な関心の高まりと共に,超スマート社会の実現に資する技術として産業界で注目を集めている。

3D laser scanner

 

LiDARの自動運転への応用

インフラ劣化の予防保全の次に求められるのは、利用する際の安全性です。特に、世界的な自動車メーカが複数ある自動車大国である日本では、車移動における安全性の保障は産業の基本条件です。また、車社会化が成熟した地方都市では、高齢ドライバ問題等を抱えています。このような交通インフラ利用における安全性の要求に応えるため、自動運転に期待が寄せられています。当研究室では、自動運転に必要な外界認識技術として、レーザレーダであるLiDAR(Light Detection And Ranging)に関する研究をしいます。そして、自律走行車の外界情報を包括的に取得し、外乱耐性を有するLiDAR技術を目指しています。

                                        自動運転イラスト/無料イラストなら「イラストAC」

 

超高速光オシロスコープの開発とその応用

光は数百THzの周波数を持ち、極めて高速な通信や計測に役立てることができます。研究室で開発中の超高速光オシロスコープは、サブピコ秒(1ps以下)の光信号の波形を測定できる性能を持つ波形測定器です。このような高性能な測定器は、光ファイバやデバイスの性能の評価、変調器の特性評価、光ファイバセンシング技術など、様々な応用を生み出します。

原理:
線形サンプリング法は、サブピコ秒パルス幅のサンプリングパルスを使って、超高速信号の複素振幅(振幅と位相)を観測します。この干渉はサンプリングパルスが存在するサブピコ秒の時間で瞬間的に起こるため、電気回路などの速度に制約されない超高速測定が可能です。干渉点をずらしながら繰り返し測定することにより、信号全体の波形を構築できます。

2 THzの帯域を持つ超高速光オシロスコープで観測した光パルス。もともとは、パルス幅は1ピコ秒[ps]以下だったが、光ファイバを通過して100倍以上に広がっている。パルスの内部で振動数が変化していることも分かる。

●光ファイバ中のブリルアン散乱

ブリルアン散乱は光ファイバなどの物質中の音波(粗密波)が光波と相互作用する現象です。散乱光のスペクトルが物質に加わる歪や温度に依存するため、光ファイバに加わる歪や温度を分布的に測定できます。本研究室では、短パルス光により発生するブリルアン散乱に他に先駆けて着目し、簡便な装置で、歪をcm以下の分解能で測定できる技術の開発に取り組んでいます。

周波数が10GHzくらいの超音波は、光ファイバの中で赤外光と同じくらいの波長をもちます。音波は物質の密度の変化なので屈折率を変化させます。音波の波長が光の波長の1/2に等しいとき、周期的な屈折率構造によるブラッグ散乱が起こります。これがブリルアン散乱です。


光ファイバ中のパルス光同士のブリルアン散乱スペクトルの例。56cm付近でスペクトルが周囲と異なり、この付近で歪などの変化が生じていることを示す。