量子コンピュータ

量子コンピュータは、量子力学の不確定性と干渉効果をうまく利用して問題を解決する、全く新しいタイプのコンピュータで、うまく利用すると従来のコンピュータでは全く不可能な計算をすることができると期待されています。

量子コンピュータは量子ビットを組み合わせて作られます。1つの量子ビットでは、0と1の2つの状態を量子力学的に重ね合わせた状態を作ることが出来ますが、観測すると必ず0か1しか得られません。そして、いくつもの量子ビットの間でその重ね合わせた状態を絡み合わせた量子もつれの状況を作り、かつ量子ビットを操作することで計算を実行することが出来ます。その絡み合わせや量子ビットの操作をどのような手順でどのようにするのか、が入力とプログラミングに対応し、出力はその結果観測される各量子ビットの状態です。ただし、1回観測して得られた結果では答えにならず、何度も観測して最も出現頻度が高い組み合わせが答えになります。答えが本当に正しいのかは、従来のコンピュータで確認することになります。

現在、量子アニーリング方式の量子コンピュータが発売されていますが、実際にその潜在的能力を完全に発揮できる汎用性の高い量子ゲート方式の量子コンピュータの研究開発も盛んに行われています。

このような量子コンピュータを実現するためには、従って良好な量子ビットを作ること、その量子ビットを操作できるようにすること、その量子ビット同士で絡みあわせを操作できるようにすること、そして量子ビットの状態を読み取ることが出来るようにすること、が必要です。このようなことは、現時点では超伝導金属部品を組み合わせて絶対温度15mK程度以下の極低温に装置の中心部を冷やすことで実現されています。 しかしそれでも、多数の量子ビットで重ね合わせの状態や量子もつれの状態を長時間維持し制御することは大変難しく、量子コンピュータの性能を決める量子ビットの数は数千ビット程度とまだわずかです。

現在の量子コンピュータの情報処理理論に基づくなら、将来の量子コンピュータでは間違いなく極めて多数の量子ビットを超高集積化する必要がありますから、何十億個ものトランジスタをわずか1cm角の正方形の中に作り込むことができる現在の半導体技術は大変魅力的で、間違いなく半導体を使ったコンパクトな集積度の高い量子コンピュータを将来作ることになるでしょう。現在そのための研究も盛んに行われています。