物理の世界

物理の世界は、大変広範な分野にわたっています。担当する回では、シリコン表面、グラフェン、そして計算物理について紹介します。

シリコン表面では、原子が規則正しく並んでいますが、結晶中とは異なった規則性で並ぶことが知られています。これは、原子同士が化学結合した結果得られる電子の運動が最も安定するように原子が並んだためで、対称性が自発的に破れるヤーン・テラー効果を示す例として知られています。

グラフェンは、炭素原子が蜂の巣状に並んだ原子一層のシート状の極めて薄い物質で、大変丈夫であるだけで無く、特殊な半導体の性質を示します。そして、グラフェンの中で電気を運ぶキャリアは、通常の粒子とは異なり質量が厳密に0であって、光と同じ運動法則に従う特殊な粒子の性質を示します。このためグラフェンの中のキャリアの運動を調べることで、加速器を使わずに素粒子の性質を調べることができます。

計算物理は、物理法則をコンピュータの上で適用することで、様々な現象を数値的に予測する手法です。なかでも第一原理計算は、量子力学を用いて物質中の電子の運動を予測することができるため、様々な物質の性質やその制御に威力を発揮します。