横断歩道にて

H12.8.4 古津年章

 

 家から職場まで2.5kmを自転車通勤している.通勤途上いくつかの横断歩道を使うのだが,歩行者が横断歩道で待っていても,止まるクルマは皆無に近い.道路交通法では,横断しようとしている歩行者がいると,必ず歩行者に優先権を与え,横断が終わるまで一旦停止して待つことが義務づけられているのにだ.そのため,警察では横断歩道に押しボタン式の信号機を取り付けている場合が多い.しかし,これは全く本末転倒ではないか.歩行者は信号機のボタンを押してしばらく待ち,青になったのを確認して渡るような習慣ができるつあるようだが,その場合,歩行者が横断を終了しても信号機が(クルマにとって)赤になっているのに,待ち続けることになる.そこで運転者はイライラする.最初から,歩行者優先義務を遵守し,信号機をつけなければ,このようなバカなことは起こらなかったはずだ.

 

 歩行者の通行量が多い都会では信号機は必要かも知れないが,私の住んでいる地方都市では,横断する歩行者は,多くの場合数人以下である.もし,信号機がなく,クルマがきちんと歩行者優先権を遵守すれば,信号機とそれを運用する電気代が不要になる.歩行者もクルマも無駄に待つ必要はない.更に,歩行者は運転者に感謝の気持ちを持つようになれば,何かの縁で横断歩道でであったクルマと歩行者は,手を挙げて挨拶するようになるだろう.すると,歩行者はクルマの,クルマは歩行者のことを考え始める.その結果,互いに感謝の気持ちが生まれてくるだろう.ルールの遵守は,資源の無駄を省き,歩行者とクルマの相互理解を進めることに役立つだろう.これは,省エネ,省資源の結果,人と人の連帯感を生むという一石二鳥のメリットが出るひとつの例である.ゴミ,エネルギー問題も同様な側面を抱えている.当面の便利さに流されてゴミを大量に出す生活ができてしまうと,本当に大事なことが見えなくなる.「万物に価値あり」 これがゴミ問題解決の基本姿勢である.