中海干拓中止後の地域振興

H12.9.9 古津年章

 

中海干拓中止後の地域振興策についての議論が活発化している.重要なことは,当面の利益のみにとらわれず,まさに百年の計に立脚した振興策が真剣に考えられているかどうかである.

この点について,2〜3私見を述べたい.

・中海・宍道湖の環境改善には,堤防開削が重要かも知れません.それは,汽水域に本来のあるいはよりよい水の流れを取り戻すことにつながるからだと思います.しかし,それだけではなく汽水域周辺との水循環を含めて考える必要があると思います.「陸域」でも本来の水循環を取り戻さなければ,汽水域への負荷は減らず,水質改善は限界があるのではないでしょうか?

 

・そこで「水循環」が地域振興の鍵と考えるわけです.私のイメージとしては,降水,山地,森林,河川,農地,市街,汽水,海洋とつながる一連の水循環を正常化することを念頭において,全ての産業活動や町作り計画を再構築する,特にそのなかで貴重な財産である汽水を守り,活用することがこの地域の特色を生かすことであり,また地域振興である,と考えるのです.

 

・「まず原状復帰」が前提,と云われる場合も多いが,しかし,もし既存の(既に建設された)施設を利用して,よりよい自然環境の形成ができるのであれば,(中浦水門の操作もそのひとつ)

特に「原状復帰」を前提にする必要はないのではないでしょうか?