情報科学概論
2003.5.6
プログラミング実習を行うためには,実際にプログラムを入力して保存する必要
があります.プログラムの記述には文字が入力できさえすれば良いので,ワープ
ロのような「文書の整形」を目的とするアプリケーションは必要ありません.そ
のため,「テキストエディタ」(略して「エディタ」)と呼ばれるツールが用いら
れます.エディタにおいては段落や行揃えなどを気にせずに,文字入力に集中し
て作業ができますし,基本的に動作が軽いのでストレス無くプログラミングが可
能になります.
Linuxにおけるエディタも種類がいくつかあり,好みによって使い分けることが
可能です.「入門UNIX」の教科書に出ているvi(p.191)は管理者としては必須の
エディタですが,初心者には使いにくい点があり,現状ではお勧めできません.
まずは,GNOME 標準のエディタであるgEditで作業してみましょう.
gEdit
GNOMEパネル(タスクバー)にあるのアイコンをクリックすると図1に
示すウィンドウが開きます.これがgEditのメイン画面です.
図1 gEditのメイン画面
作成したファイルを保存するには,「ファイル」メニューから「保存」を選択す
るか,アイコンメニューの保存ボタンをクリックします.すると,図2に示す保
存ダイアローグが現れます.
図2 ファイル保存ダイアローグ
ターミナルで次のように作業してディレクトリを作成します.
$ mkdir textfile
これにより,カレントディレクトリに textfile という名前のディレ
クトリが作成されました.今度はこのディレクトリの中にファイルを保存します.
「ファイル」メニューから「名前をつけて保存」を選択します.図2のディレク
トリ一覧から textfile ディレクトリを探しだし,その部分をダブル
クリックします.すると,ウィンドウの表示内容が更新され,上部のカレントディ
レクトリの表示部分が /virtual/home/b03**/textfile のように変わ
りました.「選択」欄に適当な名前(例えば,aaa.txt)をつけて保存しましょう.
もう一度「名前をつけて保存」を選択します.今回は,先ほど移動した
textfile がカレントディレクトリになっています.一番上にある「ディレ
クトリ作成」をクリックします.さらに小さなウィンドウ(図3)が現れます.
図3 ディレクトリ名入力ウィンドウ
あたらしくファイルを開くには,「ファイル」メニューから「開く」を選択する
か,アイコンメニューの「開く」をクリックします.保存のときと同じようなダ
イアローグウィンドウが表示されます.先ほど保存した aaa.txt
を開いてみましょう.保存のときと同じように,ディレクトリウィンドウから
textfile ディレクトリを探しだし,ダブルクリックしてディ
レクトリの中身を右側に表示させます.すると,右側の「ファイル」ウィ
ンドウのaaa.txt を選択すると,「選択」欄に aaa.txt
が入りますので,「了解」をクリックして開きます.これでファ
イルが二つとも開き,図4に示すようにタグが増えます.
図4 複数のファイルを同時に開いているときに表示されるタグ
文字列を選択して,コピーや切り取り,張り付けが可能です.「編集」メニュー
もしくはアイコンメニューで確認してみて下さい.
「保存」や「開く」ダイアローグでカレントディレクトリよりも上の階層は,コ
マンドの操作で練習した .. が表示されています.上の階層にファイ
ルを保存するには,.. をダブルクリックしてディレクトリを変更して
下さい.
UNIXユーザの中で人気を2分するエディタが教科書にあるViとこれから紹介する
Emacsです.Emacsは単なるテキストエディタにとどまらず,統合環境とも言える
ものですが,機能が豊富な分,使うには慣れと経験が必要です.また,キー操作
により各種の作業を行いますが,そのキーの組合せを覚えていないと作業効率が
悪くなります.基本的な操作だけ試してみましょう.
GNOMEメニューの中から起動するか,ターミナルからコマンドで起動します.メ
ニューからは図5のような経路で選択できます.
図5 Emacs起動までのメニュー選択経路
$ emacs &
です.起動すると,図6のウィンドウが現れます.
図6 Emacsの起動画面
FilesメニューをクリックしてOpen File... としても,画面はほとんど変化しません.
Emacsは画面の下部の「モードライン」と「ミニバッファ」を見ながら作業する
エディタです.図7を見て下さい.今の場合は,ミニバッファにどのファイルを
開くかを聞かれています.
図7 モードラインとミニバッファ
操作を失敗したり,間違えたりすることは頻繁に発生します.その際に,間違い
を修正する操作を知らないと,始めからやり直す必要があるために苦労します.
編集操作などの間違いは,どのアプリケーションにおいても「編集」メニューか
ら「取り消し」を選択することにより実現できます.メニューが英語の場合には,
「Edit」メニューの「Undo」が対応しています.しかし,Emacsの作業において,
ミニバッファにメッセージが表示されている操作については,キー操作により取
り消しを行う必要があります.その場合には,「C - g 」の操作です.
Emacsにおいては,常にミニバッファを注目していないと思わぬ状況に陥ってし
まう可能性がありますので,注意してください.
ファイルを保存するには,FilesメニューからSave Bufferを選択します.Emacs
では画面に表示されている内容を「バッファ」と言います.ディスクに保存され
る前の中間段階なのでバッファと呼びます.名前をつけて保存しなおすときには
Save Buffer As ... となります.複数のファイルを開いて作業することも可能
ですが,その際には,Buffersメニューで編集するファイルを切替えます.
Emacsの使いかたを独習するにはチュートリアルを利用します.Helpメニューか
らEmacs Tutorialを選択すると,始まりますのでそれにしたがって作業を行うこ
とにより学習することが可能です.
Emacsは定期的に自動でファイルのバックアップを作成します.これは,ファイ
ルの編集作業中になんらかのトラブルでEmacsがフリーズしたり,Linux自体がフ
リーズしたときに,編注のファイルを少しでも復元できるようにするための機能
です.ファイルを保存しないまま編集作業により変更を加えて行くと,ファイル
があるディレクトリと同じディレクトリにファイル名を # で囲まれた
名前のファイルが作られます.これが,作業中のバッファを自動でバックアップ
したものです.「保存」作業を行うとこのファイルは自動的に消されますが,ま
た,修正を加えて行くと作られます.保存しないで,Emacsを強制的に終了する
と,このファイルが残ったままになりますので,注意して下さい.これを消去す
る方法は,コマンドラインに慣れて来たらわかるようになりますが,必要に応じ
て質問して下さい.
自動バックアップに加えて,保存作業によりファイルが更新された場合に,その
直前のファイルも自動で保存する機能があります.このときには,ファイル名の
後に ~ がついたものが作成されます.必要なければ削除すれば良いで
すが,慣れるまでは気にしないで下さい.
エディタで作成したファイルをメールで転送するための「添付」作業についても
実習しましょう.Sylpheed はファイル添付も簡単な操作で実現できます.ただ
し,ディレクトリの概念を知らないと,添付すべきファイルをみつけられないこ
とになりますので,これまでのコマンド操作を思いだしてください.
メールの作成画面で,アイコンメニューにある「添付」をクリックすると,図8
のダイアローグウィンドウが表示されます.このウィンドウはGNOME環境で統一
されたインターフェイスを持っていますので,gEditの保存ウィンドウなどと同
じ外観になっています.使用方法は,ファイルを保存したり,開いたりするとき
と同じで,ディレクトリを選択し,ファイルを捜し出すだけです.
図8 ファイル添付のダイアローグ
授業の残り20分くらいでAクラスとBクラス別々の小テストを行いますので,アナウンス
に注意してください.
授業の最後にAクラスとBクラス別々の宿題の案内も出しますので,アナウンスに注意してください.
Emacs
編集中のファイルの名前が,hoge.txt だとすると,自動で作成されるバックアップ
ファイルの名前は #hoge.txt# となります.
編集中のファイルの名前が,hoge.txt だとすると,このバックアップファイル
の名前は hoge.txt~ となります.
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