ホームページ作成講座 1999.6.9
Telnetでサーバに接続してEmacsを利用して行う作業方法
1. 前回までの反省
1.1 FTP作業時のトラブル
前回まで、HTMLファイルの作成をローカルホストで行い、作成後にFTPでwebサーバに送ると言う形式を説明してきた。しかし、標準で備えているftpコマンドを利用したことやKtermなどの端末エミュレータとftpとでは操作環境が微妙に異なることからディレクトリ移動やパーミッション設定、ファイルの移動や転送に失敗した例がいくつかあり、初心者には混乱を招いたきらいがある。
1.2 Emacs作業時のトラブル
UNIX環境で最も良く利用されるソフトウェアの一つであるEmacsは多機能統合環境を可能にしてくれるテキストエディタであるが、それだけに使いこなすのははじめは難しいものがある。特に、最下段に表示されるミニバッファウィンドウを良く見ながら作業しないと自分の行っているコマンド入力が何を実際に行っているのか、良く分からなくなる可能性がある。また、ヘルプ画面が表示されたときに抜ける方法を知らないと、手当りしだいにコマンドを入力して作成中のファイルを自分の付けたものと違う名前で自動保存されたりするので、後から見てファイルの保存ができていないと勘違いしやすい。また、バッファが残っているためEmacsを終了できないこともある。
1.3 本日の作業手順
前回までの反省をふまえ、手順を一部変更して作業を行う。まず、ローカルホストにログインした後、Xを起動し、デスクトップにKtermを立ち上げる。Kterm内でwebサーバにtelnetでログインし、サーバ上のHTMLファイルをサーバのEmacsを利用して編集する。また、EmacsはMewと組み合わせることにより、電子メールの送受信も行うことができるので、その準備も行う。
2. 実際の作業手順
2.1 ページイメージの確立
自分が作成したいページの全体のレイアウト、内容などをある程度まで頭に描いておく。今日の段階ではグラフィックを多用するようなページはできないので、テキストベースで構成することを念頭に置く。自分の顔写真(後頭部でも手足でも背中でもあそこでも可)を載せたい場合には縄手の方でデジタルカメラで撮影の後、サーバにおいておくので後日活用すること。
2.2 ローカルホストでの準備
2.2.1 ログイン
ログイン名とパスワードを入力し、教室の端末にログインする。パスワード入力中にはパスワードは(もしくは、なんらかの記号も)表示されないので、注意すること。キー入力を間違えたときには訂正を試みないでEnterキーを押してLogin incorrectが表示された後、再びログイン名から入力をやり直すこと。
ログインが完了したら、
startx
と、入力し、Xを起動する。
2.2.2 基本アプリケーションの起動
起動プロセス完了後、画面下のボタンの中から Netscape Communicator を押して起動する。(マウスの左ボタンを一回押す)起動作業ではまず、マウスポインタを左上とした長方形の枠が表示されるので枠全体が画面に納まる位置までマウスポインタを動かし、左クリックする。(マウスの左ボタンを一回押すこと)注意メッセージが表示されるので、とりあえず読んだ後で、OKボタンを左クリックする。先ほどと同様にマウスポインタを左上にした長方形の枠が表示されるので画面の上までドラッグし、左クリックする。ブラウザ画面が表示されるが、ウィンドウの下がメニューバーに隠れるので、ブラウザの上の枠(青色)の中の右から二番目の四角いアイコンを左クリックしてウィンドウサイズを最適化する。
ブラウザのEditメニューからPreferencesを選び(マウスでEditと書かれている部分を左クリックし、下に伸びたメニュー項目の一番したのPreferencesの項目までマウスポインタを動かし、左クリックする)。Navigatorの項目の中のスタートアップ時にブランクページを選択する。作業手順としては、左枠内のNavigatorを選択し、右枠内のBrowser Starts with Blank Pageのボタンをクリックする。OKボタンを押して、設定画面から抜ける。
続いて、ViewメニューのCharacter Setを選択し、Japanese (Auto-Detect) を選ぶ。ここまでの準備をした後、URLウィンドウに
www.ecs-s.shimane-u.ac.jp/~nawate/demo.html
を入力し、HTML 学習用のページを表示させる。また、View メニューの Page Source を選択し、今のページのソース(制御コードを含んだページのテキストデータ)も表示させる。
WWWの普及に伴い、HTML言語を知らなくてもHTMLファイルを作成するアプリケーションプログラム (Adobe PageMill等) が発売されている。また、主要なワープロソフトもHTML形式で保存する機能を持っている場合がほとんどであり、HTML言語を知らなくてもページは作成できるようになってきている。しかし、HTMLが提供する機能は非常に多岐にわたっており、プログラミング言語として修得しておく方が今後のWebページの活用において有利であるので、本講座ではHTML言語を自分で記述する方式でページを作成する。講座終了後に自分のページをアップデートする際には何を用いても構わないので、必要に応じて(財布と相談して)自分で決めること。
次にデスクトップ下部のktermボタンを左クリックし、Kterm(漢字を利用できる仮想端末エミュレータ)を起動する。ここでも同様に、マウスポインタを左上隅とする長方形の枠が表示されるので、適当な位置でクリックする。ブラウザのウィンドウも含めて、それぞれをウィンドウを右クリックで切り替えることを考えると、枠を少しずつずらして常にウィンドウの一部が見えるようにしておくのが好ましい。
Ktermにおいては、マウスポインタが枠内にあるときにCtrl+中クリックで各種の機能を自分の好みで設定できるので、必要であればEnable scroll barをアクティブにしておく。また、Ctrl+右クリックで文字の大きさを設定できるので、標準の文字では小さいと感じたらSmallくらいを選んでおく。さらに大きい文字が好みであればLarge等を選択する。ウィンドウサイズ自体はウィンドウの端の部分を左クリックしてドラッグすることにより好みの大きさにできる。
2.2.3 サーバへの接続
先程起動したKtermの中で
telnet mag2.riko.shimane-u.ac.jp
と入力し、Telnetによりサーバにログインする。ログインプロンプトが表示されたらログイン名とパスワードを入力する。パスワードは先ほどと同様に画面に何も表示されないので注意する。ログインが完了したら、
pwd
コマンドを入力し、自分のホームディレクトリ (/home/hoge) であることを確認する。続いて、
ls
コマンドを入力し、public_htmlディレクトリがあることを確認する。
public_htmlディレクトリがない場合は、
mkdir public_html
と入力し、ディレクトリを作成する。
また、
ls -l
を入力し、public_htmlのパーミッション(属性)が
drwxr-xr-x
となっていることを確認する。
属性が異なる場合は、
chmod 755 public_html
と入力し、属性を変更しておく。(変更後、再びls -lを行って確認すること。)
cd public_html
と入力し、public_htmlディレクトリに移動する。移動後、
ls
を入力し、index.htmlファイルがあることを確認する。
ない場合も今は構わないのでそのままにしておく。
2.3 ページの作成
先ほどまで作業していたKterm上で
emacs -nw index.html
と入力してエディタであるEmacsを起動する。このとき、すでにindex.htmlファイルがある場合はその内容がテキストウィンドウに表示されるが、ない場合にはテキストウィンドウに何もデータがない空のファイルが作成される。
ここで、オプションの -nw であるが、これは No Window の略で Kterm 内にそのまま Emacs を起動するためのオプションである。サーバはグローバルな IP アドレスを持ち、ネットワーク上で他のホストから原則的にすべての機能が利用できるようになっているが、作業を行っているローカルホストがルータを介した LAN の中にあり、Xの機能をリモートで利用するための制御信号を通すことができない。そのため、普通に emacs とコマンドを入力するとエラーメッセージが出てEmacsを起動できないのでこのようなオプションをつける必要がある。Xの環境からEmacsを起動すると、本来は別のウィンドウにメニューバーを持つEmacsのウィンドウが表示される。WindowsやMacからtelnetで利用する場合には、この-nwは不要である。
2.2.2で表示しておいた参考のデモページとそのソースを見ながら自分がイメージしていたページレイアウトを実現するためのタグを選んでページの内容を入力して行く。こちらからは内容に関して別段注文はつけないが、ページの最後に以下のようなリンクを作成しておくこと。
電子制御システム工学科<a href="http://www.ecs.shimane-u.ac.jp/education/student.html">学生作成ホームページ一覧</a>へ<p>
しばらくは各自で編集作業を行うが、日本語でページを作成する関係で以下に日本語入力の注意事項を復習しておく。
2.4 Cannaによる日本語入力
webサーバのEmacs上でのCannaによる日本語入力モードへの切り替えはCtrl+oのキーコンビネーションであり、これはトグルスイッチとなっているので、英文入力と日本語入力はCtrl+oで入れ代わる。
このCanna起動法はローカルホストのEmacs利用時の場合と異なることに注意。
基本的な操作方法は前回配付した資料を参照すること。
2.5 Emacs作業時の注意
Emacsで作業を行っているときには、一定時間ごとに自動で作業中の内容(バッファと呼ぶ)が保存されるが、適当なときに自分で明示的に保存作業を行うことが望ましい。そのときのコマンドは
Ctrl+x Ctrl+s
となる。詳しい操作方法は前回配付した資料を参照すること。また、操作を間違ったためにミニバッファウィンドウにヘルプ関連の情報が表示された場合には、Ctrl+gを入力して取り消すことができる。
2.6 ファイル属性の確認
ページ作成が終了したら、Emacsを終了した後、
ls -l
と入力し、index.htmlファイルの属性が
-rw-r--r--
となっていることを確認する。
違う属性であれば、
chmod 644 index.html
と入力し、変更しておく。
Netscape NavigatorのURLウィンドウに自分のページのURLを入力し、確認する。思ったとおりに行っていない場合は、再びEmacsを起動してファイルの訂正を行う。
3. 電子メールの操作方法
3.1 説明
ホームページによる情報公開は視覚的な効果が大きく、ときには思わぬところから反響が返ってくることもあり、どのような内容を公開するか、今後の社会で重要な意味を持っている。しかし、読んでくれた人との交流を深める手段は基本的には電子メールであり、現在、ビジネスや娯楽としても必須の技術となっている。この講座でもページの作成を行った後、なんらかのコメントをもらおうと思えば自分の電子メールアドレスを載せて、窓口を用意することが重要である。電子メールはWindowsやMacの環境からでも利用することができ、また、それらの方が多機能で親しみのあるユーザインターフェイスを有している場合が多い。しかし、本講座ではLinuxの習得を念頭にこの環境で電子メールを利用する方法を解説する。
今回行う方法は自分の作業している端末もしくは端末エミュレータで繋がっているホストがそのままメールサーバを兼ねていると言うUNIX特有の環境での方法であるので、研究室仮配属後に研究室のパソコン等を利用してメールを利用する場合には異なる方法で行うことになる。詳細については配属先の研究室の教員に聞くこと。
Linux(UNIX)で電子メールを利用することは世界標準の機能を利用することであり、例えば、OutlookExpressがデフォルトでhtmlメールとなっているような非常識な設定で他の人を困らせるようなことがない。また、シンプルな構造で電子メールの仕組み自体を学習するのに良い環境である。
3.2 IMの設定
Emacsの環境から電子メールを利用するためには、Mewという補助プログラムを必要とするが、サーバから電子メールをとってきたり、サーバに送ったりする際にはIMというさらに別のスクリプトプログラムが必要になる。この辺りは、複数のちいさなプログラムを組み合わせて欲しい機能を実現するUNIX系OSの典型的なやり方である。
3.2.1 署名の作成
cd ~
と入力して自分のホームディレクトリに移動する。そこで、
emacs -nw .signature
と入力する。新しいバッファが開いて入力モードになったら、電子メールの最後に自動でつける署名を作成する。以下の例のようなものが通常用いられるが、自分の好きな署名を作成してもよい。ただし、あまりに長い署名はネットワーク資源や通信インフラの無駄遣いなので止めること。
例:
縄手雅彦@島根大学総合理工学部電子制御システム工学科
磁気応用計測グループ
nawate@mag.shimane-u.ac.jp
http://www.mag.shimane-u.ac.jp
署名の作成が終了したら、
Ctrl+x Ctrl+s
でファイルを保存した後、
Ctrl+x Ctrl+c
でEmacsを終了する。
3.2.2 IMの設定
自分のホームディレクトリで、
imsetup
と入力する。これは、IMの設定用のスクリプトであり、ほとんどの項目でデフォルトのまま(Enterキーを押すだけ)であるが、
What is your E-mail address(es)?
の項目は自分のアドレスに変更しておくこと。例えば、
hoge@mag.shimane-u.ac.jp
等と訂正しておくこと。以上で、電子メールを利用する準備が整った。
3.3 電子メールの利用
emacs -nw
として、Emacsを起動する。起動後、
Escキーを押してはなした後、xを押し、mewと入力するとMeWの起動画面が表示され、Emacsの画面が電子メールモードに変更される。
i
を入力(Enterキーは不要)すると、サーバにスプールされている自分宛の電子メールを表示するので、スペースキーでメールの内容を読む。実際の送信作業等は後日行う。
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