電子計測講議内容(6.4)

4-2 マイコンによる自動計測

この教科書が書かれたのは1989年と古いのでコンピュータに関する記述は全般的に古すぎることが多くなっています。p71のフロッピーディスクの辺りに関しては、私の専門の磁性材料に関することなので、アップデートな内容を付け加えて説明します。ここでは、前回の磁気記録の話の中で端折ってしまったところに情報を加えておきます。



高密度磁気記録用ヘッド


巨大磁気抵抗効果
Giant MagnetoResistance, GMR

磁気抵抗効果
磁場の印加により「電気抵抗」が変化する現象
正常磁気抵抗効果
異方性磁気抵抗効果

異方性磁気抵抗効果


巨大磁気抵抗効果
複数の部分に別れている強磁性体の磁化の配列状態による抵抗変化

巨大磁気抵抗効果のメカニズム



上図のような強磁性体と非磁性体の層を交互に積層した構造(人工格子構造)において,磁場を印加しない状態では強磁性層の相互作用により磁化は反平行状態にあり,外部磁場の印加により平行に揃う.そのときに,電気抵抗が下図のように大きく変化し,変化率は100%以上になるものもある.



磁気抵抗曲線の模式図

しかし,この大きな抵抗変化を得るには数kOeの磁場が必要になる.これは磁気ヘッドとして読み出しに使う媒体からの漏れ磁界に比べると数百倍の大きさであり,応用できない.


スピンバルブ構造



強磁性層どうしに働く交換相互作用は弱いので,上の磁性層の磁化は弱い磁場でも反転する.反転して磁化が反平行状態になると抵抗が大きくなる.(変化率は10%程度)


この原理を磁気ヘッドに応用し,記録の読み出しに用いることにより従来より数倍記録密度が向上した.

現在,さらに先の40Gbit/inch2を目指して,国内の主要な電機機器メーカーといくつかの大学(含む,島根大学)が共同で研究を行っている.


光磁気記録

レーザ光を用いて熱磁気記録により記録ビットを書き込み,磁気光学カー回転角により読み出す方式.





磁気記録層と光学ヘッドの間に距離があるので,傷やゴミに強く,持ち運べるリムーバブルディスクとして利用


光磁気記録のさらなる高密度化





b. 標準インターフェイス

パソコンで計測を行う場合にはGP-IBやRS232Cをインターフェイスとして行うことが多い。実際の計測例は教科書の通りであるが、p.76にあるようなコネクタはパソコンと周辺機器を接続する時に重要なものであるので、他の種類のケーブルについても若干補足しておく。



コネクタの概形(GP-IBおよびパソコン周辺で用いられる各種のインターフェイス)


IEEE-488 (GP-IB)

SCSI (Small Computer System Interface)
セントロニクス50pin(アンフェノールフルピッチ)
セントロニクスハーフ50pin(アンフェノールハーフ)
ピンタイプハーフ50pin
D-sub25pin
*RS232Cモデム,プリンタインターフェイス
HDI-30

Serial
RS-232C
DB-25, D-sub25pin, D-sub9pin
RS-422
ミニDIN8pin

Bus
PS/2
ADB (Apple Desktop Bus)
USB (Universal Serial Bus)

Parallel
セントロニクス36pin(アンフェノールマイクロリボンフルピッチ)


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