電子計測
2001.5.25
dviとはDeVice Independentの意味で使用環境に依存しないで出力できるようなファイルの意味である。文字通り、TeXのソースがあれば、教室のようなLinux (UNIX) 環境だけでなく、Windows や Macintosh においても印刷可能である。課題を提出する際に自分の環境でエラー無くコンパイルが出来ていること、および、dviファイルをxdviで見たときに自分の希望通りの表現が出来ていることを確認してから提出すること。コンパイルエラーを引き起こすTeXファイルを決して提出しないこと。
今後卒業研究を迎える際に、完全にフリーであり無料であること、ページ数の多いファイルでも動作に支障を来さないこと、数式表現に秀でていること、図、表、引用文献の番号付けが自動で出来ること、などの機能を持つTeXは覚えておいて損はない。研究室がWindowsを使用していてもTeXは利用できる。
C - g
により取り消さないといけない。ミニバッファをよく見て、思った動作と違うことが起こったときにはその C - g により操作を取り消すことを覚えておこう。
編入生以外は「パワーガイド」教科書により一度TeXの簡単な操作を行った経験がある。以前に詳しく説明しなかったことも含めて、しばらくTeX操作の復習を行うが、内容は基本的には「アプリケーションガイド教科書」に従って行う。随時、「パワーガイド」教科書の野鳥の機能についても説明を行う。なお、野鳥については、
の公式ページに詳しいガイドがあるので、「パワーガイド」教科書を持っていなくてもそれなりの情報が得られるので活用すると良い。
\documentclass{jarticle}
というおまじないを入れておけばよい。文字の基準を大きくしたいときには
\documentclass[12pt]{jarticle}
のようにする。なお、野鳥を使用していると、文書の作成の初めに、
C - c s
とするとデフォルトで
documentstyle
が出てくる。これはLaTeX2ε以前にLaTeX 2.09 環境で使用されていた形式であり、今でも使用できるが、なるべくdocumentclassの方を使用しよう。
「アプリケーションガイド」教科書には説明がないが、文書のレイアウトに関する記述は冒頭に入れる必要がある。
\begin{document}
よりも前の部分をプリアンブルと呼ぶが、そこがレイアウトパラメータを記述する場所である。よく使用するのは、余白、文書の幅と高さ、スタイルなどである。デフォルトでは余白は上下左右とも1インチ(2.54cm)、ページ番号付きになっている。例えば余白を上下左右とも2cmにし、ページ番号を付けない場合であれば、
\setlength{\oddsidemargin}{-5mm}
\setlength{\textwidth}{17cm}
\setlength{\topmargin}{-5mm}
\setlength{\textheight}{254mm}
\pagestyle{empty}
のようにする。紙のサイズを知らないと設定できないのが不便であるが、慣れるとだいたい分かるようになる。また、実際に印刷する際にはプリンタの種類などで予想していた余白と異なる場合もある。その時にはまた自分で修正すればよい。デフォルトよりも小さいサイズを設定するときには上の例のように負の値を入れることも覚えておこう。
TeXで使用できる単位はmm、cmのような長さだけでなくzwのように全角文字の幅と言う定義も出来る。
教科書p.129
Macintoshのような出版業界でよく使用されている環境では豊富なフォント(字形)が用意されており、表現力の豊かな文書の作成が可能である。しかし、Linuxではフリーの環境を基本とするため高価なフォントを揃えることはあまり行われない。特に、日本語は漢字を使用するためフォントの数が膨大になり、価格も必然的に高くなる。100文字程度で事足りるヨーロッパ言語と比べてその点は不利である。
しかし、明朝体とゴチック体を基本としたフォントだけでもそれをどのように「見せるか」により表現にアクセントを付けることが出来る。教科書のp.131にあるようなfamily、series、shapeをそれぞれ好みに変更してみて確認してみよう。また、文字の大きさを変更することにより強調も出来る。アンダーラインなどの装飾も当然可能である。
教科書p.133
卒業論文などの少し長い論文ではjarticle形式でsectionコマンドにより章立てを行うが、通常のちょっとした文書ではそこまですることは少ない。しかし、文章全体にわたって見通しよく整理するためには箇条書きが必要であり、適宜使用することにより、印象が良くなる。
TeXに用意されている箇条書きの環境は番号付き、記号付き、見出し付き、リスト形式などである。また、デフォルトで用意されているような記号や番号形式以外に自分で定義することにより、より表現が増す。教科書では最も基本的な箇条書き形式であるitemize環境について、renewcommandとlabelitemiの組み合わせによる変更方法が紹介されているが、enumerate環境においても当然同様のことが行える。方法は、ほぼ同じで、
\renewcommand{\labelenumi}{\Roman{enumi}.}
のように使用する。使用できるラベルの種類は
\Roman
\roman
\arabic
\Alph
\alph
などがあるが、これらにさらに装飾を加えることも可能である。例えば、(a)のようにかっこを付けたり、ii)のような右かっこだけ、[IV]やa.のような表現も可能である。実際に行いたい形式で最後の{}内を装飾すればよいので、自分で試してみること。
教科書には紹介されていない複雑な形式としてlist環境がある。webを検索するなどして一度学習しておこう。
教科書p.139
表はTeXの中では結構難しい部類に入る。日本の公文書は罫線を使用して作成するのが慣例だが、アメリカでは罫線で囲む形式はそれほどは使用しないため、TeXにおいてはあまり複雑なものは考慮されておらず、自分でスタイルファイルと呼ばれる定義ファイルを作ったりする必要がある。。罫線の多い文書はTeXで作るのは結構悩むことになるかもしれない。特に、multicolumnを使用する際には慣れるまでは結構とまどうであろう。教科書のp.141における表の例でも二つの出力例のどちらも左上の欄の「月」の表示が枠の高さの中央に来ていない。これがTeXのデフォルトであり、上下の中央に位置させようと思うとさらに難しい機能を使用することになる。それに関しては、昨年度の電子計測の授業で紹介した例を参照して欲しい。他にも昨年版の教科書はそれなりに役に立つことが書いてあるので、時間があれば一通り目を通すことをお奨めする。
「パワーガイド」教科書を持っている場合はそれを読むと野鳥を使った便利な機能が紹介されているので、TeXの操作が楽に行えることが学習できる。教科書が無い場合には野鳥公式ページおよびそのリンクを参照すると良いが、基本的なことは多少ここで紹介しておく。
先週、コンパイルとxdviの起動は紹介した。それ以外の補完機能が野鳥の神髄なので今回は\begin型の補完について紹介する。
TeXのソースを書いていると\begin{}...\end{}で挟まれた制御構造をよく見るだろう。野鳥の補完機能では、
C - c b
とすると\begin型の補完モードになり、例えばdを続けて入力すると
\begin{document}
\end{document}
と一気に入力される。どのようなコマンドがあるのか確かめながら進めたいときは、
C - c b
に続けてスペースキーを押すと候補の一覧が出てくる。それから数文字入力してTABキーやスペースキーを押すと残りを補完してくれる。また、先に文章が入力してあって後から\begin{}...\end{}で囲みたいときは以下のような操作となる。
はじめに
と言う文章を入力した後でそれをセンタリングしたくなったときは「はじめに」の「は」のところにカーソルを置いて
C - spc もしくは C - @
のキー操作をする。これはEmacsにおける領域選択の開始を意味するもので、ミニバッファにMark setと表示される。その後で、「に」の次(右)にカーソルを進め、
C - c B
のように、シフトキーとBのキーを同時に押して大文字入力のようにする。それに続けてcを入力すると
\begin{center}
はじめに
\end{center}
のようになる。
教科書に従って例を試すこと。
作業2
webテキストで紹介した\enumerate環境のラベル変更を試してみること。
作業3
野鳥の操作もいろいろ試してみること
授業の終わり頃に宿題用の課題を用意するので、指示があったらこのページを再読込して課題を見ること。