電子計測
2001.6.1


  1. 本日の作業内容

    1. TeX 操作
      1. 数式環境
      2. さまざまな数式
      3. 記号
      4. 野鳥の機能
    2. 本日の作業
    3. 本日の復習課題


  2. TeX 操作

    今日のテーマは数式である。TeXは元々数学者のKnuthが自分が表現したい数式を印刷できなかったために自分で開発した歴史が示すように、数式をいかに美しく表現するかが重要なポイントであり、そのために未だに理工系の学術論文の作成に使用されている。最近ではワープロの中に数式エディタの機能が取り込まれたり、高機能の数式エディタが市販されてはいるが、フォントをドロー表現で組み合わせる形式では限界があり、依然としてTeXが最も優れた数式整形手段であることは否定できない。

    TeXで数式を作成して画像としてワープロなどに張り付けるようなケースもあるので、数式の利用だけでもTeXを覚えておいて損はない。


    1. 数式環境

      教科書p.144

      数式以前の話であるが、論文において記号を使用する場合、その記号の種類によって表現方法が異なる決まりがある。例えば、質量のように、物理量を表す記号はイタリック体にすることが決まっている。しかし、sinのような関数は立体にする。数字も立体である。添え字の扱い方など分野によって若干異なることもあるが、だいたい上記のような決まりは共通である。

      TeXの数式環境はそのような約束に従って表現しやすいようになっており、文中に使用する場合、別立てで表現する場合など、それぞれの状況に応じて使いやすい仕組みになっている。

      例えば、p.145のmath環境は、数式の表現と言うよりも文中に物理量を表す記号が出てきた場合などに便利なように$$で挟むだけで基本的には文字が斜体で数字が立体になるようになっている。

      なお、野鳥においては$を一つ入力すると自動的に$$のように環境が整うようになっている。その他の{}などもだいたい自動的に対になって入力されるのであとから追加や編集するときには注意すること。
      本格的に別立てで数式を作る場合はdisplaymath環境やequation環境を使用する。論文では数式に番号を付けることが多いためequation環境を基本とする方が良いかもしれない。

      また、文中で記号を使用する場合にも添え字がつくことが非常に多い。それらを使用する際に、基本的に共通する考えは、上付き文字は^を、下付は_使用することである。教科書の例を見ていくと分かると思う。

    2. さまざまな数式

      教科書p.147

      基本的なことは教科書に書いてあるので、それに従って微積分や分数、総和など表現になれておけばよい。その際に、基本的には英語を元に作られているので、積分integral、微分differential、総和summation、分数fraction、平方根square rootなどを基礎知識として持っていないと覚えるのが大変である。また、less than、greater than、equalなども知らないと困るだろう。

      さて、本学科において非常によく使う数式表現であるにもかかわらず教科書で説明されていないのがベクトルである。ベクトルは高校までは記号の上に矢印を書くように習った場合があるかもしれないが、大学数学では太字で表現することは線形代数や電磁気学で学習したと思う。TeXでベクトルを表現するには、boldmath環境を使用する。ただし、boldmath環境は数式の中ではそのままでは使えないモードなので\mboxコマンドと併用して以下のようにしてベクトルを表現する。

      $\mbox{\boldmath$A$}$

      無事にベクトルが表現できたであろうか?\mboxコマンドは文中に図を挿入したりするのにも重要なコマンドであるので、また別の機会にも紹介する予定である。

      また、教科書には偏微分の記号も紹介されていない。例えば、以下のようにすれば表現できる。

      $\frac{\partial U}{\partial x}$


    3. 記号

      教科書p.151
      記号についても、多彩な数式表現に対応するために豊富なコマンドが用意されている。教科書にあるものを試すだけでも十分であるが、以下に、日本的な記号の使用法に関する補足をしておく。以下の説明は、奥村晴彦監修、技術評論社発行の「LaTeX入門」のp.117に紹介されている方法である。(TeXは自分で工夫すれば何でも表現出来るが、覚えるためにはそれなりの知識が必要であるよい例である。)

      不等号
      TeXはアメリカ生まれなので、表現法も当然アメリカ的なものが用意されている。例えば、以上や以下を表す不等号は、日本では≧や≦が使用されることが多いが、アメリカでは等号が棒一本で表現されるので、TeXでもそのようになるので、そちらを使用する。独立した数式ではなく文中で使用する場合には記号入力から≦や≧を使ってもよい。

      等号
      また、およそ等しいを示す記号も高校までは≒で習ったが、大学以降の数学では〜を縦に二つ重ねたもの、もしくは〜と−を重ねたものが用いられる。TeXでもそうなる。高校までで慣れ親しんだ記号を使いたい場合や、高校生用の数式を作成する場合には文中のどこかで以下のような定義をしておくと、それ以降は\APPROXとして呼び出せる。

      \makeatletter
      \def\APPROX{\mathrel{\mathpalette\ap@align{\smash.}}}
      \def\ap@align#1#2{\lower.2ex\vbox{\baselineskip\z@skip\lineskip\z@
      \def\finsm@sh{\ht\z@.2ex \dp\z@.2ex \box\z@}%
      \ialign{$\m@th#1\hfil##\hfil$\crcr#2\crcr=\crcr#2\crcr}}}
      \makeatother


    4. 野鳥の機能

      本日紹介するのはセクション補完型である。前回のbegin型と同じようなキー操作で補完が出来る。セクション型では、

      C - c s

      により準備し、その次に来る文字で補完を行う。スペースキーを押して候補一覧を見るのもbegin型と同じであるし、あらかじめXEmacsで領域選択している場合には

      C - c S

      とSを大文字にすることにより可能である。

      セクション型で出来る命令は、主にプリアンブルで使用する\setlength\pagestyle、自分で見出の記号を変えたりする\renewcommand、章立てするための\section、間隔を調整する\hspaceなどであるが、他にもいろいろある。

  3. 本日の作業

    作業1

    教科書に従って例を試すこと。

    作業2

    webテキストで紹介した\boldmath\APPROXを試してみること。

    作業3

    野鳥の操作もいろいろ試してみること

  4. 本日の復習課題

    授業の終わり頃に宿題用の課題を用意するので、指示があったらこのページを再読込して課題を見ること。


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