電子計測
2002.6.17
先週の宿題の内,アイルランドの国名表記について説明しないといけないことが ありますので,口頭でお知らせします.
最初の説明が終わったら出席確認です.パソコンの時計が合っているかを確認したら出席のメールを出してください.今 回の件名は
inst 6-17 attend s0040**
です.それ以外は前回と同じです.
なお,入力ミスがあると出席として認 められないことになりますので,慎重に行ってください.文 字はすべて1バイト文字 (半角英数字) です.途中に入るスペースは一度に一個だけと してください.スペースは全部で3個です.また,**の部分は自分の学生番号の下二桁 です.他学科の人はそれなりに修正して下さい.
教科書p.144
数式の美しさがTeXの最大の特徴と言っても過言ではありません.他にも便利な 機能はあるのですが,理工系で論文やレポートを作成する上で避けては通れない 数式について,その基礎を学習していきましょう.
教科書p.145
通常の文章の中に数式を記述する場合には,数式部分を $ $ で囲むこ とで可能になります.しかし,数式の記号を表現するコマンドは以下に示すよう に複雑ですので,それを学習しないと記述できません.ところが,それよりももっ と大事なことは論文や教科書などで数式を記述する場合の約束事です.まずは, 以下のソースを作成して結果を見てみましょう.
以下のソースはすべて数式部分のみを示しま す.プリアンブルやドキュメントの指定は各自で行った上でソースを試してみ てください.
Basic equation is availabe by writing $ y = ax^2 + bx - c + 1 $. |
上の例についてタイプセットを行いDVIファイルを見てみると次のようなことが 分かります.
べき乗を表す上付文字は ^ で表現できます.2文字以上ある場合には 範囲を指定するために { } で囲む必要があります.
文中の数式ではなく,独立した行に数式を記述する場合は次のようにします.
Basic equation is availabe by writing follows. \[ y = ax^2 + bx - c + 1 \] |
この場合でも本文と数式の間に改行は必要ありません.数式は行の中央に出力さ れます.より長い式も試してみましょう.
\[ \Delta = a_{11}a_{22}a_{33} + a_{12}a_{23}a_{31} + a_{13}a_{21}a_{32} - a_{11}a_{23}a_{32} - a_{12}a_{21}a_{33} - a_{13}a_{22}a_{31} \] |
ここでは新たにギリシャ文字と下付文字が出てきました.このように,TeXにお いてギリシャ文字を扱う際には,数式モードの中で使用する必要があります.ま た,ギリシャ文字を呼び出すコマンドは基本的にはその英語読みとなっており, 大文字はコマンド名も大文字で始まります.ただし,ギリシャ文字と英字の大文 字が同じ場合にはギリシャ文字用のコマンドは用意されていません.(例えば, アルファの大文字はAで代用します.)下付は,アンダースコアで表現しますが, 2文字以上ある場合には下付の範囲を指定 する必要があるので,{ } が必要になります.
上述のように,本文中でギリシャ文字が必要であれば数式モードで以下のように します.
The Greek letters can be written as $\alpha$, $\beta$, $\gamma$, and so on. |
教科書p.146
数学や物理の教科書のように数式に番号を使う場合には,equation環境を使用し ます.次の例で試してみてください.
\begin{equation} f(x) = C_0 ( ax^n + bx^{n-1}) \end{equation} |
また,一度に複数行の数式を記述するのなら,eqnarray環境を使用します.
\begin{eqnarray} f(x) = C_0 ( ax^n + bx^{n-1}) \\ \frac{df(x)}{dx} = C_0 ( anx^{n-1} + b(n-1)x^{n-2}) \end{eqnarray} |
ここでは新しい表現である分数が出てきました.分数はfraction numberと言う ので,その最初を取って \frac で記述しますが,分子分母の順に { } で並んでいます.また,\\ も新しく登場しました.これは 「改行」を意味するコマンドです.テキスト中での通常の改行は無視されますが, 空行を開けると改行し段落の切目と判断されることは 前回説明しました.ここででてくる \\ で は段落の先頭のような字下げが行われず単に改行のみ がなされます.
教科書p.150
先ほどの例は二重カッコになっていますが,このままでは少し見栄えが悪くなっ ています.中カッコ { } はTeXのコマンドで使用するので,そのまま では使えません.また,上付や下付の文字があると行の高さが変ってくるので, カッコの高さも変った方が見栄えが良くなります.次のように \left( \right) や \left\{ \right\} を使ったものに変更してみましょ う.
\begin{eqnarray} f(x) = C_0 \left( ax^n + bx^{n-1} \right) \\ \frac{df(x)}{dx} = C_0 \left\{ anx^{n-1} + b\left(n-1\right)x^{n-2} \right\} \end{eqnarray} |
教科書p.146
数式中に空白 (スペース) を入れる方法はいくつかありますが,一番単純にはチ ルダを使います.スペースを開けたい場所に ~ を適当な数だけ入れて 様子を見てください.
教科書p.148
積分も数式表現で良く出てくるものですが,\int 記号と上付文字や下 付文字の組合わせで表現します.
\[ \int \sin x dx = - \cos x + C \] \[ \int_0^\infty e^{-x} = \left[ -e^{-x} \right]^\infty_0 = 0 - ( -1) = 1 \] |
仕上がりをXdviで見て,ソースの記述と比較してみてください.
教科書p.155
行列の表記法は次回で取り扱う表と同じような形式です.とりあえず以下に例を 示しておきますが,詳しいことが表を学習すると分かるようになるでしょう.
\left( \begin{array}{ccc} a_{11} & a_{12} & a_{13} \\ a_{21} & a_{22} & a_{23} \\ a_{31} & a_{32} & a_{33} \end{array} \right) |
教科書p.152
記号 | コマンド | 記号 | コマンド | 記号 | コマンド | ||
± | \pm | ≦ | \leq | ∝ | \propto | ||
× | \times | ≧ | \geq | 〜 | \sim | ||
÷ | \div | ≪ | \ll | \mp | |||
・ | \cdot | ≫ | \gg | \simeq | |||
≠ | \neq | ≡ | \equiv | \approx | |||
HTMLでは表現できないものについては一部空欄となっています.仕上がりは自分 で確認してください.
教科書p.154
関数 | コマンド | 関数 | コマンド | |
sin | \sin | cot | \cot | |
cos | \cos | sinh | \sinh | |
tan | \tan | cosh | \cosh | |
sec | \sec | tanh | \tanh | |
csc | \csc | exp | \exp | |
記号 | コマンド | 使用例 |
lim | \lin | \lim_{n\rightarrow\infty} |
Σ | \sum | \sum_{k=1}^N |
平方根 | \sqrt\sqrt{-1} | |
\boldmath | \mbox{\boldmath$H$} | |
記号 | コマンド | 記号 | コマンド | |
l | \ell | ∇ | \nabla | |
∞ | \infty | \clubsuit | ||
∂ | \partial | \diamondsuit | ||
∠ | \angle | \heartsuit | ||
⊥ | \bot | \spadesuit | ||
HTMLでは表現できないものについては一部空欄となっています.仕上がりは自分 で確認してください.
教科書p.153
大文字 | コマンド | 小文字 | コマンド | |
A | A | α | \alpha | |
B | B | β | \beta | |
Γ | \Gamma | γ | \gamma | |
Δ | \Delta | δ | \delta | |
Ε | E | ε | \epsilon | |
Ζ | Z | ζ | \zeta | |
Η | H | η | \eta | |
Θ | \Theta | θ | \theta | |
Ι | I | ι | \iota | |
Κ | K | κ | \kappa | |
Λ | \Lambda | λ | \lambda | |
Μ | M | μ | \mu | |
Ν | N | ν | \nu | |
Ξ | \Xi | ξ | \xi | |
Ο | O | ο | o | |
Π | \Pi | π | \pi | |
Ρ | P | ρ | \rho | |
Σ | \Sigma | σ | \sigma | |
Τ | T | τ | \tau | |
Υ | \Upsilon | υ | \upsilon | |
Φ | \Phi | φ | \phi | |
\varphi | ||||
Χ | X | χ | \chi | |
Ψ | \Psi | ψ | \psi | |
Ω | \Omega | ω | \omega | |
自分の知っている公式についていろいろと試してみましょう.偏微分や線形代数 のような数学公式だけでなく,シュレーディンガー方程式やマクスウェル方程式 など物理の公式にも挑戦してください.
授業の終りに宿題の説明をしますので、アナウンスに注意してください.