図4.23(a)の回路
ダイオードDにより,コンデンサおよび抵抗に電流が流れるのは,交流電
源の半分,すなわち,電圧が正の時のみ.このとき,コンデンサを充電するよう
に電流が流れるが,があるので,電流の大部分はの充電に使われる.
電源電圧が負に変わると,コンデンサに蓄えられた電荷による放電電流がを 流れる.この電流はのために充電電流よりも大きさが小さい.よって,放電 と充電をくり返してもに蓄えられる電荷は減少せず徐々にの両端の電圧は 上昇する.
定常状態に達したとき,Cは電源電圧の波高値まで充電されているの で,出力電圧としては,一定値が得られる.
図4.23(b)の回路
この場合には,入力電圧が正のときには,コンデンサを充電する電流が流れ,そ
の大きさはにより制限されている.一方,入力電圧が負の場合にはを経な
いでDのみを介してを逆向きに充電する.この電流はDの抵抗値が小さいため,
正の入力電圧がかかっているときよりも大きい.これにより,は左側が負,
右側が正に徐々に充電されていく.その結果,入力電圧の正負に関係なく,出力
電圧を取り出す部分では入力電圧のピークピーク値分だけ,正にシフトしている.
演算増幅器(オペアンプ,OPアンプ)を用いると,入力の仮想接地,購入力インピー ダンス,低出力インピーダンス,高い安定性が得られるため,測定器だ けではなく,電子回路全般で重宝される.
安定性に関しては,以下のように考える.
増幅率を,フィードバックゲインをとして,
くと,
の変化に対して,の変化は, 倍となっており,変 動が小さいことが分かる.
【教科書訂正】
図4.32の(c)で,とあるのは,が正しい.同じく,(4.45) 式もが正しい.