コンピュータネットワーク基礎
2003.4.18
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今後は1年生のときに使用していたLinuxの教科書を持参する
ようにしてください.
口頭で指示を出しますので,その案内にしたがって出席確認用のメールを出しま しょう.「作成」ボタンをクリックして,次のような内容のメールを作成します.
宛先 | aegis@mag.shimane-u.ac.jp |
件名 | network s0140** attend-4-18 |
本文 | s0140** |
このメールの場合には,「件名」は自分の学生番号を入れた指定のものにしてく ださい.上の表で ** になっているところは自分の学生番号の下二桁 が入ります.また,本文にも学生番号を入れておいてください.送信により出席確認 が完了します.学生番号や日付の部分を間違えないようにしてください.
先週の授業で,とりあえず電子メールを送信するための最低限の設定については 完了しました.実際に電子メールを今後も利用する上で,知っておくべきことは たくさんあります.また,人にとって読みやすい電子メールを作成することは, コミュニケーションの円滑化を図る上で重要な要素です.
今回はより有意義に電子メールを使用するために必要なポイントのいくつかにつ いて説明していくことにします.
電子メールの構成は,教科書p.102に示されるようにヘッダ・フィールド群とボ ディと呼ばれる本文からなります. また,書類を添付するときには,p.104の拡張形式を利用して本文がさらにいく つかに分割されます.まず,配送にとって不可欠なヘッダについて紹介します.
ヘッダ というのは,メールを封書にたとえると封筒に記載されている宛名や差出人,消 印のような情報に相当します.すなわち,誰が誰に宛ててどこから送信し,受信 はどのような経路でなされたかが記述してあります.宛先や差出人は,作成者が 指定しますが,それ以外は配送に関与するサーバが情報を追記していきます.郵 便局が消印を押して,郵便を配達するのと同じような仕事をメールサーバが担当 しています.
では,実際のヘッダの例を見てみましょう.例にあげるのは,もっとも単純な教 室内だけで配送作業が行われた場合のものです.
From b0399 Tue Apr 16 10:01:16 2003 Received: (from b0399@localhost) by sv001.ecs-riko.shimane-u.ac.jp (8.9.2+3.1W/3.7W) id KAA07208 for nawate; Tue, 16 Apr 2003 10:01:16 +0900 (JST) Date: Tue, 16 Apr 2002 10:01:16 +0900 (JST) From: b0399 Message-Id: <200204160101.KAA07208@sv003.ecs-riko.shimane-u.ac.jp> To: nawate Subject: attend X-UIDL: 5d8ff71205929df6baaea08e6c052859 |
最初に差出人と作成日付が表示され,次の行から配送に関する経路が新しい順に 示されています.今の例ではサーバ上で直接配送されたため,一つの履歴しかあ りませんが,実際のメールではたどってきた経路が記録されます. Message-Idは通常はメールサーバが付与するユニークなIDであり,メー ル一つごとに異なるIDがつけられるため,返信や転送の際にその元になるメー ルを特定することができます.
先週自分宛に返信したメールが「サマリウィンドウ」(メールの一覧ウィンドウ) で元のメールに対して少し右にずれて表示されていたのに気づいたでしょうか. これは「スレッド表示」と言って,このメッセージIDを元に,メール同士の相関 を表現したものです.試しに,次のような操作を行ってみて下さい.
最後にあるX-UIDLのようにX- で始まるもの (このような行 単位の情報を「フィールド」と言います.) はメールソフト (Mail User Agent MUA) が独自につけることを認められているフィールドであり,ソフトの仕様に よって様々なものがあります.また,「メーリングリスト」という同報メールを 活用した意見交換の手段では,リストサーバが独自にフィールドをつけているこ とがよくあります.
このように,メールのヘッダには重要な情報が記入されているので,必要に応じ て見てみることは重要ですし,ヘッダというものが存在していてそれを見ること ができることを知っていることも重要です.
では,自分で実際に試してみましょう.先週の実習で自分宛にメールを送信しま した.そのメールをどれでも良いので開いてみて下さい.すると,メールの本文 を表示するウィンドウの最初に,教科書図10.1にあるようなフィールドが見えるはずで す.フィールド名は太字で表記されています.教室で使用するSylpheedは教科書 とは掲載順が異なっていますが,最初の4項目は同じです.教科書では「その他 のオプション行」とされている部分に実際にいくつか表示されるかも知れません. 環境設定で自分の所属する組織を記入した人は例えば,
Organaization: Shimane University |
のように表示されますし,Sylpheedのデフォルトのままであれば上述のXフィー ルドである
X-Mailer: Sylpheed version 0.8.5 (GTK+ 1.2.10; i386-vine-linux) |
が入っています.これは差出人が使用しているMUA(メーラー)の種類を表示して います.
図1に示すようにメニューバーにある「表示」から「全てのヘッダを表示」を選 択すると,上で紹介したような配送経路を含むヘッダ情報が見えるようになりま す.教科書の図10.4にある拡張形式のフィールドも表示されます.
図1 全てのヘッダを表示するためのメニュー操作
Slypheedでメールを受信すると,メールに関する情報一覧がサマリウィンドウに 表示され,選択されたメールの本文が,メールウィンドウに表示されます.そこ には,自分で設定した簡単なヘッダも表示されていますが,デフォルトでは配送 経路などは含まれていません.メールを読むときに参考になる差出人やサブジェ クトなどが表示されているはずです.
本文に関しては,相手に読みやすいようにすることが一番重要です.が,「読み やすい」とはどのようなことを言うのかについては個人差があるので一概には言 えません.もちろん,文体や表現,漢字とひらがなの比率など,文章能力に依存 する部分もありますが,ここでは形式的な点について紹介しておきます.
最近のメールソフト Mail User Agent (MUA) はどんどん高機能化され,メール の表現力を向上させてきています.しかし,基本的に,電子メールは文字で情報 を交換する方法であり,端末やOSを選ばないのが特徴です.PDAと呼ばれる電子 手帳や携帯電話でも電子メールは利用できますし,場合によっては,遠方からサー バに接続してメールを読む場合もあります.その際に重要なのは,通常の端末の ウィンドウの横幅に収まる程度に1行の文字数を制限することです.
具体的には,かつてのUNIX系の仮想端末の1行に表示できる文字数が80文字であっ たことから,半角英数文字で80字以内,日本語では40字以内とすることが推奨さ れています.メールを引用する際には,引用符を使うことも多いので,そのため のスペースも考慮して,76文字以内とすることが伝統的に行われてきています. 皆さんも,だいたい70字程度を目安に自分で改行を行うよう習慣づけましょう. 便利なことに,Sylpheedではメール作成ウィンドウのテキスト入力部分の上部に 目盛がついています.そこに示されている80という目盛が先ほどの半角英数字80 文字に相当しますので,70あたりで改行を入れましょう.
ただし,携帯電話宛てに送る際には改行をつけない場合の 方が見やすい場合もありますし,PDAであれば20字くらいで改行するべき 時もありますので,受け取る人の環境を気にかけると言うことが重要で す.
手紙を書くときには,特に面識の無い人やビジネス関係などでは冒頭に決り文句 を入れることがよくあります.つまり,拝啓で始まる時候の挨拶や,前 略で始まる挨拶などです.しかし,電子メールはネットワーク資源が貧 弱で伝送経路も今からは考えられないくらい低速だった頃から始まって いますので,少しでも情報量を減らして負荷をかけないことや通信費用 を節約することが行われてきました.特に,バケツリレー方式でメール を配送していた頃では,途中の経路への負担を減らすのはいわばマナー ですので,不要な挨拶や冗長な表現は嫌われました.
そのため,一見ぶっきらぼうに最初に名乗るだけで用件を伝達するのが一般的で したから,最近メールを始めた人は,メールによるコミュニケーション はぶっきらぼうで冷たい印象を持つことが多かったようです.顔が見え ないと言うこともあってトラブルの元になるケースもあったようですが, 基本的に上述のように無駄な表現を避けるという伝統があったので今で も,熟練者や仕事上メールを使う頻度が高い人は,簡潔で必要十分な用 件のみをメールに書くことが多いようです.冷淡とか無味乾燥などと思 わずにそれが当たり前だと思っていてください.
電子メールを返信する際に重要なのは「適切な引用」です.メールで意見交換を するわけですから,相手の文章に対して反論やコメントをつけることが ありますが,その際には,必要な部分だけを残して引用する癖をつけま しょう.先ほどのネットワーク負荷のところと関係しますが,不必要な 文章は削除するのが礼儀です.ただし,必要な部分はしっかり残して引 用しなければなりません.その辺りの状況はなれてくるとわかると思い ます.また,引用は,引用であることを示すために自分が書いた文章と 違うことを明確に見せなければなりません.そのために,引用部分には 行頭に記号がつけられることが一般的です.半角の > が使われること が多いのでそれが基本ですが,自分の好きな記号にしてもかまいません.
Sylpheed では,「設定」→「全般の設定」とメニューから選択していき,「送 信」タブを選択して表示されるウィンドウに引用符の設定項目があります.皆さ んはデフォルトの > のままでかまわないでしょう.
教科書の10.2ではメールの配達の仕組が説明されています.「プロトコル」と呼 ばれる約束事にしたがってコンピュータどうしが通信を行って配送し,最終的に はメールサーバまで届いたメールを自分のパソコンから取り込みに行きます.配 送の部分は先ほどヘッダに記述されているのを見ましたが,メールサーバとのや りとりは別に記録されていますので,そちらを見てみましょう.図2のように, 「ツール」メニューから「ログウィンドウ」を選択します.すると,教科書の図 10.6のようなやりとりが記録されています.エラーが発生したときなどはこのロ グが参考になります.Windowsで良く利用されているMUAではこのような詳細なロ グがとれないものが多くあり,障害発生時に原因特定に苦労することが多くあり ますが,LinuxのようなUNIX系の環境ではユーザが豊富な知識を持っていること を前提としている場合が多く,詳細なログを残すものが多いようです.
図2 ログウィンドウを表示させるためのメニュー操作
なお,ログにおける個々のコマンドの意味は5/30の授業で扱う予定です.
ネット上での意見交換の手段としてはいろいろなものがありますが,チャットや 掲示板も多く用いられているようです.それらは,古くはパソコン通信時代のコ ミュニケーション手段としての利用が多かったことから,パソコン通信の伝統を 引きついている部分が多くあります.その中でも特に目立つのは「匿名」による 発言です.
一方,ネットニュースや電子メールという当初からインターネット上で,主に UNIX文化と平行して発展してきたコミュニケーション手段では「実名」による意 見交換が中心でした.どちらでないといけないということは無いのですが,通信 記録としていろいろな情報が残る電子メールは,やはり基本は実名による利用で すが,「名前」ではなく,実在するメールアドレスを利用して意見交換すること は最低限のマナーと言えます.
そのような経緯から,日本では冒頭で名前を名乗ってから用件を切り出すような形式が多 く用いられていますし,末尾に署名をつけることも多くなっています.あらかじめ作成しておいた署名を自動で挿入するためには,「アカウン トの編集」から「作成」を選んで署名ファイルのパスを指定するようになってい ます.たとえば,自分のホームディレクトリに.signature という名前 で作成しておけば,デフォルトのままで新規メールに挿入されます.
皆さんの署名に対するポリシーはそれぞれ思うところがあるでしょうが,課題提 出の際には,個人がわかりやすく特定できるような署名をつけてください.他の 人と似ている署名は紛らわしいので推奨できません.自分のオリジナルな署名を考 えて見てください.ちなみに,以下に私が普段使用している署名を列挙しておき ますので,参考にしてみてください.ただし,あくまで参考にとどめてください. 署名というのはある種の「サイン」ですので,人のものをまねするのは推奨でき ません.
┏┛┏┛┏┛ 縄手雅彦@島根大学::総合理工学部::電子制御システム工学科 ┏┛┃ ━┃ nawate@ecs.shimane-u.ac.jp ━┛━┛━┛ http://www.ecs.shimane-u.ac.jp/~nawate |
┏━┳━┳━┳━┓ 縄手雅彦@島根大学総合理工学部電子制御システム工学科 ┃┃┃┃┃┃┃┏┫ nawate@mag.shimane-u.ac.jp ┗┻━┻┻┻┻━┛ http://www.ecs.shimane-u.ac.jp/~nawate 磁気計測システム研究室 |
┃ I've got a mobility ┗┓ \/\/ith ┗━ CASSIOPEIA FIVA nawate@ecs.shimane-u.ac.jp (縄手雅彦) http://www.ecs.shimane-u.ac.jp/~nawate |
署名の編集には何らかの「テキストエディタ」を利用する必要があります.エディ タに関する詳細は次週以降の予定ですが,とりあえず,エディタの操作練習を行って みましょう.以前に使用していたXEmacsは今回の教室の環境には入っていません. テキストベースのエディタであるEmacsを使って下さい.また,もっと簡単に エディタを試してみたい人は,GNOME 標準の gEdit をおすすめします.簡単な 説明はこちらにありますので見てください.
もう一つの実習作業は,日本語入力の復習です.エディタ上で日本語入力を可能 にするためには,gEditであれば「Shift」キーと「スペース」キーを同時に押し てかな漢字変換プログラムの「かんな」を起動します.カーソルの下に[あ]が出ているのが正常な状態です. Emacsでは「Ctrl」キーと「\」を同時に押してモードを変更します.モードライ ンに[あ]が表示された状態がかんなの日本語入力モードです.Emacs以外の場合 には「F1」キーを押して「拡張モード」を呼び出すと,単語登録やその他の拡張 機能が使用できます.かんなの操作自体については1年生のときに使用した木村 広著「Linuxによる情報リテラシー」のp.103を参考にしてください.とりあえず, 以下のページが参考になるかも知れません.
http://npl.kyy.nitech.ac.jp/comp-doc/emacs/canna-jp_3.html
授業の最後の方で小テストを実施します.アナウンスに注意して下さい.
授業の終りに宿題に関する説明をしますので,アナウンスに注意してください.