コンピュータネットワーク基礎
2003.6.27

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1年生のときに使用した 木村 広 著 「Linuxによる情報リテラシー」を持っ てくることをお薦めします.


  1. 本日の作業内容

  2. LaTeX2εによる文書作成(1)

    先週までコンピュータネットワークに関するさまざまな項目について学習してき ました.ネットワークに関する技術的な話題はまだまだたくさんあり,全てを網 羅した授業とはなっていませんが,今週からは少し方向性の異なる授業を進めて 行きます.主眼は,学習して来た内容をレポート形式にまとめる環境・ 技術の習得です.卒業研究配属が行われたら,卒業研究の最終的な目標は卒業論 文(卒論)の作成です.卒論を作成する環境については,大きく分けてTeXとワー プロがあります.主としてシステム系の研究室がTeXを利用し,デバイス方面は ワープロを利用することが多い調査データが出ています.今週からの3回の授業 では最初の2回でTeXを学習し,最後の1回はこの教室でフリーのオフィスツール を利用するための環境構築と実習を行います.

    編入生以外の電子の学生さんは1年生の時にTeXを学習している人も多いのですが,ここ では初めて利用する人のために最初から説明します.数式や表などは次週以降に 説明します.また,教科書には「野鳥」に関する説明がありませんので,まずは, 野鳥の説明から始めますが,TeXのコマンド自体は教科書を参照して学習 してください.

    • TeX操作の流れ

      TeXはHTMLのようなマークアップ言語の一種と見なされます.実際に作成する文 章と制御コードが同じテキストファイルに記述されます.「タイプセット」とい う作業を行って出来る「DVI」ファイルを見て初めて整形された文章を見ること が可能になるので,慣れないうちは仕上がりが分かりづらく不便だと感じると思 います.以下に作業の流れを示します.

      1. エディタによるTeXファイル作成

        テキストエディタにより拡張子が .tex であるTeXファイルを作成しま す.

      2. タイプセット

        latex コマンドによりTeXファイルを解釈して印刷用に整形された形式 のファイルであるDVIファイルを生成します.

      3. プリビュー

        仕上がり状態を xdvi により画面で確認します.

      4. 修正

        仕上がり状態を確認し,修正があれば,再びエディタでTeXファイルを編集,タ イプセット,プリビューと繰り返します.

      5. 印刷

        xdvi の印刷機能を利用してプリンタに出力します.

      上記の流れは「情報リテラシー」教科書の第15章に記述されていますが,TeXのことを良く知らな い状態で読んでもなかなか理解しにくいと思います.まずは,以下の作業を行っ て見てから教科書を確認してみてください.

    • 野鳥について

      Emacsは作成するファイルの種類や目的に応じて「モード」が用意されているの で,入力に関して補助機能が充実しているというのが特徴です.TeXに関しても, 拡張子が .tex のファイルを編集する際にはTeXモードになります.し かし,より便利なモードが用意されていますので,そちらを使用しましょう.以 後の説明はすべてそのモードである「野鳥」の利用を前提としています.

      野鳥とは,YaTeX (Yet Another TeX) の日本 語表現で, TeXを「てふ」と呼ぶことが多いので,それに習って「やてふ」とひらがなを当てるのですが,日本語の旧仮名 遣いでは蝶々を「てふてふ」と書いていたこともあり,「やちょう」と読んで, 「野鳥」の漢字を当てています.こじつけのような名前ですが,現在広く普及し ている入力支援モードです.

      まずは,自分のホームディレクトリに tex ディレクトリを作成し, Emacsの野鳥モードを起動する作業をしてみましょう.

      $ mkdir ~/tex
      $ cd ~/tex

      としたあとで,

      $ emacs test.tex &

      のように,拡張子をつけた名前でEmacsを起動してモードラインに「やてふ」と いう表示が出るか確認してください.

    • はじめの一歩

      まずは,以下の内容を先ほど起動したTeXファイルに記述して行くのですが,そ の際に野鳥の機能が働いてくれるので活用しながら作業しましょう.ソースを紹 介したあとで説明します.

      
      \documentclass{jarticle}
      
      \begin{document}
       \begin{center}
        {\large 日本語\LaTeXe}
       \end{center}
      \end{document}
      

      この内容を入力する際に以下のような手順で行うと操作が楽になります.ただし, 必ずミニバッファを見ながら作業してください.

      1. 1行めの記述

        入力を始める前に,C - c s としてください.そうすると,ミニバッ ファに

        (C-v for view-section) \???{} (default documentclass): 
        

        と表示されます.TeXは文書の形式を冒頭で指定する必要があるので,このよう なことから始めます.このままで構わないのでEnterキー を押します.そうすると,

        Documentclass options ([opt1,ipt2,...]): 
        

        が表示されます.ここでは,何もしないでEnterキーを押します.すると,

        Documentclass (default jarticle): 
        

        となるので,デフォルトのままで構いませんからEnterキーを押します.この作 業により,エディタの1行目に所定の文字が入力されていることでしょう.

      2. 3行目の記述

        TeXはプリアンブル (Preamble, 前口上,前文) と呼ばれるヘッダ部分と本文に分かれたファイル形式になっ ています.その本文の領域を限定するため,documentの開始と終了を宣言します. HTMLと同じような形式ですが,これも野鳥により入力させます.まずは,C - c b としてください.ミニバッファには,

        C-c b- 
        

        とでますので,dを入力すると,

        
        \begin{document}
        
        \end{document}
        

        というようにエディタに入力されます.

        このように,C - c b d とすると, 最初の一文字でいきなり \begin{document} が出てしまうようなキー バインドもあり ますので,注意してください.心配な場合は,C - c b まできたところで,何か入力する前にスペースを押して補完モードに入れ てから文字を入力する方が無難かも知れません.

      3. 4行めの記述

        文字のサイズを大きくしたり,行揃えを中央にしたりできます.そのためのコマ ンドが4行目にありますが,これも野鳥の機能で入力しましょう.カーソルを4行 目に設定し,まずは,C -c b と,先ほどと同じようにして,そのあとで,cとします.すると,新 たに,

        
        \begin{center}
         
        \end{center}
        

        が入りますので,カーソルをその中において,C - c l とします.ミニ バッファに

        
        {\??? } (default large): 
        

        と出ますので,デフォルトのままEnterを押します.すると,

        
         {\large }
        

        が補完されていますから,カーソル位置にこの例の中の唯一のテキストである

        
        日本語\LaTeXe
        

        と入力しましょう.

      4. タイプセット

        例文が完成したらタイプセットを行います.これも,キーバインドを利用した操 作一発です.C - c t のキー操作を行ってみてください.ミニバッファ に次の表示が現れます.

        
        J)latex R)region B)ibtex mk(I)ndex K)ill-latex P)review S)earch V)iewerr L)pr
        

        この中でタイプセットを行うコマンドは latex なので,jのキーを押 します.すると,ウィンドウが上下に2分割され,下の方にメッセージが表示さ れます.エラーがなければ最後に,

        
        typeset finished at Wed Jun  5 11:44:36
        

        のように時刻が表示されてタイプセットは完了です.この時点で,作業をしてい たディレクトリに新たに3つのファイルが出来ています. ls コマンド で確認してください.拡張子が,.aux .dvi .log のものが出来ている のが分かるでしょう.これらはそれぞれ意味がありますが,とりあえず,DVIファ イルが出来ていることは確認してください.

      5. プリビュー

        では,仕上がりを確認してみましょう.これもキー操作ですが,先ほどのタイプ セットと同じ,C - c t です.今度はその中のPreviewを行いますので, pを押してください.すると,

        
        Preview command: xdvi 
        

        となりますから,デフォルトのままで構わないので,Enterします.すると表示 が,

        
        Preview file[.dvi]: test 
        

        というように変ります.拡張子は .dvi を自動で補ってくれるので, 不要です.ファイル名があっていれば,ここでもEnterをクリックします.する と,プリビューワーのXDVIが起動して,仕上がりを画面で確認できます.XDVIの 終了は右側に縦に並んでいるボタンのQuitをクリックしてください.

    • プリアンブルの記述

      先ほどの例文を見ると分かると思いますが,TeXの制御コマンドは \ (バックスラッシュ) で始まっています.バックスラッシュはTeXファイル の中で重要な意味を持っています.また,先ほど \documentclass の ところで説明を省略したオプションですが,使用する文字のサイズに関してペー ジ全体に反映する指定が可能です.デフォルトは10ptですが,オプションに 11ptや12ptが指定できます.

      同じく,{jarticle} の部分ですが,これは日本語の「記事」 (article) という意味で,これ以外に,jbookやjreportが選択できます.当分は, この,jarticleだけを利用すれば良いでしょう.

      他にプリアンブルに指定できるコマンドしてはページのレイアウトに関するもの があります.これらは,\documentclass を入力したときのように, C -c s のキー操作で呼び出すことが出来ます.例えば,今のC - c s の後で, setl 位まで入力 して補完すると, setlength と補ってくれるので,Enterを押します.次に,

      
      Length variable: \ 
      

      と聞いてくるので,odds と入力して補完しましょう.すると, oddsidemargin と補ってくれます.Enterを 押したら,実際の長さを聞いてきますので,例えば,- 5mmと入力してみましょう.本文中にきちんとコマン ドが入力されたはずです.

      以下にプリアンブルで使用するレイアウトコマンドの一覧を示します.

      コマンド名パラメータ名意味設定例
      \setlength\oddsidemargin左余白1cm, -5mm
      \setlength\topmargin上部余白1cm, -5mm
      \setlength\textheightテキスト部分の高さ25cm, 257mm
      \setlength\textwidthテキスト部分の幅15cm, 170mm
      \pagestyleページ番号の形式empty, plain

      注意するのは,余白のデフォルト値です.1インチがデフォルトなので,狭めた いときには負の数値を入力する必要があります.

    • 本文部分の注意事項

      TeXの特徴は基本的な文章の整形は自動で行われることです.たとえば,段落の 先頭は1文字分字下げを行ってくれます.英数字と日本語文字の間には「四分空 き」と言って,一文字の1/4分の間隔を開けてくれます.これにより,日本語文字 と英数字との表示バランスが取られて見た目が良くなります.(この機能は最近 のMS-Wordにもありますが.)

      逆に慣れないと不便なのは,HTMLと同じようにソース上での「改行」が無視され ることです.改行を2つ続けておくと,段落の切目と判断してくれますが,1個だ けの改行は無視されますので注意してください.また,半角のスペースも無視さ れます.

      文字の揃えはデフォルトで両端揃えになっています.右揃えや左揃えにするため にはコマンドが必要です.

    • 野鳥のコマンドの種類

      TeXに無数のコマンドがあるように,それに対応した野鳥のキー操作も無数にあ ります.とても覚えられませんが,基本的な部分だけでも知っておくと入力がず いぶん楽になります.以下に示すのは,コマンドの使い方によってキーバインド を呼び出す部分が少しずつ違っていることを示す表です.

      キーバインド
      トリガ
      種類
      C - c sレイアウトや長さを指定するコマンド用\documentclass, \setlength
      C - c bbegin-endで対をなすコマンド用\begin{document}, \begin{center}
      C - c l文字の大きさや見た目を変更するコマンド用\large, \bfseries
      C - c tタイプセットやプリビュー用jlatex, xdvi

      また,はじめは分かりづらいのですが,ある領域を選択してからコマンドを実行 するには,上のキー操作のsやbの部分をシフトキーを押して大文字を入力するよ うにすると出来ます.これについては,自分で試してみてください.

    • 合字

      最初の例文で示した例で,\LaTeXe と言うのがありました.活字を組ん で版下を作成する場合には,活字の物理的なサイズの制約から字を複雑に重ね合 わせて表現するためには,別途活字を作製する必要がありました.ところが,電 子ファイルであるTeXではそのような文字の組み合わせ(合字)が簡単になります. その象徴がソフトの名前であるTeXですが,本来は,\TeX とソースに 記述して得られるような大文字のギリシャ文字がずれて重なっているようなもの です.先ほどの \LaTeXe はそれを応用したもので,Aが上に上がってい ます.

      英語の書籍をじっくり見たことのある人は知っているかも知れませんが,fの次 にiがくると,fの上の曲がった部分の先とiの上の点が重なっています.これは, 文字の幅をきれいに見えるように調節した結果その部分が重なるために,専用の 活字を用意して表現していました.ffのようにfが続く場合も同様です.TeXでは その辺も自然に見えるように自動で調節してくれます.自分でソースに加えて試 してみてください.

    • プリビューワーの動作

      教科書p.258

      教科書に書いてある例は自分でターミナルからXdviを起動するためのものですが, 野鳥を使うと先ほど試したように,Emacsから直接起動できます.起動させた後 は画面にあるメニューでほとんどの操作が可能です.また,表示領域にマウスを 持っていってクリックすると拡大鏡モードになり大きく表示してくれるので細か いところを見るのに便利です.あと,ウィンドウ上部の表示領域スライドバーはマウス の中ボタンにより操作してください.

  3. 実習作業

    野鳥とTeXの操作になれるためにいろいろな操作を実行してみてください.また, TeXの便利さを実感するために,以下のソースを応用して自動の番号づけに挑戦 してみてください.一応,利用しそうな野鳥のキー操作についてはあらかじめ 登場順に挙げておきますが,末尾の表なども参考に,自分でも試してみてくだ さい.

    コマンドキー操作
    \documentclassC-c s documentclass
    \pagestyleC-c s pagestyle
    \begin{document}C-c b d
    \begin{center}C-c b c
    \largeC-c l large
    \LaTeXC-c m LaTeX
    \sectionC-c s section
    \subsectionC-c s subsection
    \begin{enumerate}C-c b e
    \itemC-c m item
    \begin{itemize}C-c b i

    
    \documentclass{jarticle}
    \pagestyle{empty}
    
    \begin{document}
    \begin{center}
     {\large 日本語\LaTeXe の練習用ソース}
    \end{center}
    
    \section{文字の大きさ}
    
    \subsection{大きくなる方}
    
    文字をだんだん大きくしていきます.{\large large}, {\Large Large},
    {\LARGE LARGE}, {\huge huge}, {\Huge Huge}
    
    \subsection{小さくなる方}
    
    文字をだんだん小さくしていきます.{\small small}, {\footnotesize
    footnotesize}, {\scriptsize scriptsize}, {\tiny tiny}
    
    \section{書体}
    
    {\Large 日本語はデフォルトでは明朝体で表示されますが,{\bfseries ゴシック体}も使
    えます.}
    
    \section{箇条書き}
    
    \subsection{序数つき}
    
    \begin{enumerate}
     \item 数字や英文字つきの箇条書きが可能です.
    
     \item 冒頭の数字の形式の変更も可能ですが,難しいので今はやりません.
    
     \item 入れ子にもできます.
    
    \begin{enumerate}
     \item これは第2階層の1番目
    
    ラベルなしで文字を書いていくと段落の先頭を階層ごとに合わせてくれるのも
           HTMLと同じです.
    
     \item 第2階層終わり
    
    \begin{enumerate}
     \item 階層ごとに用意されているラベルは自分で階層を増やして試してみてく
           ださい.
    \end{enumerate}
    \end{enumerate}
    \end{enumerate}
    
    \subsection{記号付の箇条書き}
    
    \begin{itemize}
     \item こっちは記号が頭につく箇条書きです.
    
     \item 記号の変更は今回は省略します.
    
    \begin{itemize}
     \item 当然入れ子もできます.
    
     \item 入れ子は4階層まで可能です.
    \end{itemize}
    \end{itemize}
    
    \section{とりあえず,この節でおしまい.}
    
    この程度の例文ではなかなか理解は難しいのですが,とりあえず,試してみてく
    ださい.来週以降,数式や表も実習しますが,より詳しい内容は3年時に開講さ
    れる「コンピュータネットワーク基礎」の中で紹介することになると思います.
    \end{document}
    

    野鳥の入力支援について,補完モード別にコマンドを分類した一覧表を以下に示 しますので,適宜参照してください.

    C- c b (begin ~ end style)
    centerdocumentdescription
    enumerateequationitemize
    flushleftflushrightminipage
    tabbingtabulartable
    picturequotequotation
    verbatimverse
    C - c s (section style)
    partchaptersection
    subsectionsubsectionsubsubsection
    paragraphdocumentclasspagestyle
    underlinelabelmakebox
    footnotehspacevspace
    bibliograhpybibitemcite
    mboxcaptionnewlength
    setlengthsetcounternewcommand
    renewcommandclinedate
    reffracmuliticolumn
    C - c m (maketitle style)
    LaTeXTeXclearpage
    hlineindentnoindent
    itemleftright
    maketitlenewpage

  4. 小テスト

    授業の終了20分前くらいにAクラスBクラス別の小テストを実施します.アナウ ンスに注意してください.また,提出は電子メールにより行いますので,メール の送信準備は忘れないでいて下さい.

  5. 宿題

    授業の終りに宿題(AクラスBクラス)の説明をしますので,アナウンスに注意してください.


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