コンピュータネットワーク基礎
2003.7.4

Back to index page

1年生のときに使用した 木村 広 著 「Linuxによる情報リテラシー」を持っ てくることをお薦めします.


  1. 本日の作業内容

  2. LaTeX2εによる文書作成(2)

    先ずは,以下の例文で今日の内容である,「相互参照」と「文献引用」を含むソー スを眺めてみましょう.ソースはダウンロードも可能です.例文中の赤字になっている部分が注意点です.

    \documentclass{jarticle}
    \usepackage[dvips]{graphicx}
    
    \begin{document}
    \begin{flushright}
     2003.7.4
    \end{flushright}
    
    \vspace{3mm}
    \begin{center}
     {\bfseries {\large コンピュータネットワーク基礎\\
      相互参照と文献引用の例文}}
    \end{center}
    
    \vspace{3mm}
    \section{相互参照}
    
    教科書や科学技術論文において,文中に数式や図表が多く使用されます.それら
    は種類別に番号が振られ,本文中でその番号により参照されることはご存じでしょ
    う.ここでは,それを試して行きます.
    
    \subsection{数式}
    
    数式は\LaTeXe を使用することにより,どんなワープロや数式エディタよりもき
    れいに表示できます.そのために作られたのだから当然ですが,数式表現は実に
    多彩なコマンド類を使用するので,ここでは詳細には触れません.参照するため
    の用例としての紹介のみです.
    
    例えば,式(\ref{eqn:newton})はニュートンの運動方程式,式(\ref{eqn:sum})
    は連続する整数の和の公式です.当然おぼえていることでしょう.
    
    \begin{equation}
     \mbox{\boldmath{$F$}} = m\mbox{\boldmath{$a$}}
      \label{eqn:newton}
    \end{equation}
    
    \begin{equation}
     \sum^n_{k=1} = \frac{n(n+1)}{2}
      \label{eqn:sum}
    \end{equation}
    
    数式は通常カッコで囲まれた数字で参照されます.相互参照機能では番号のみし
    か参照しないため,上ではカッコでくくった中に参照コマンドである
    \verb|\ref|が使用されています.
    
    \subsection{図}
    
    図はあらかじめ用意しておかないと表示されません.\LaTeXe ではEPS形式が標
    準的に用いられます.画像を自分で作る時間はもったいないので,以前にこの授
    業で用いたものを使うことにしましょう.「4月18日の授業テキストの図1」を右
    クリックして,この文章を保存しているディレクトリに保存しましょう.その図
    のファイル名は\verb|header.jpg|ですので,ターミナルに移ってコマンド操作
    を実行します.
    
    \vspace{3mm}
    \verb|$ convert header.jpg header.eps|
    
    \vspace{3mm}
    これにより準備は完了したので,図として挿入できます.図\ref{figure:header}を見て下さい.
    
    \begin{figure}[h]
    \begin{center}
      \scalebox{0.4}{\includegraphics{header.eps}}
     \caption{参照のための図}
     \label{figure:header}
    \end{center}
    \end{figure}
    
    ここでも,数式のときと同じ\verb|\ref|が使われています.
    
    \subsection{表}
    
    表の作成は\LaTeXe においてもっとも欝陶しい作業です.慣れないとさっぱり分
    かりません.欧米では表はシンプルに罫線を上下の一部しか使用しなかったり,
    日本の書式のような罫線で囲まれた書類を扱う習慣が無いため,日本的な作表の
    便宜は考慮されていません.あきらめましょう.ここでは,参照のための例を示
    すだけです.
    
    「5/23の授業テキストの表4」を表\ref{table:mask}に示します.罫線も入れて
    います.
    
    \begin{center}
     \begin{table}[h]
     \caption{ネットマスクの表}
     \label{table:mask}
     \begin{tabular}{|c|c|c|} \hline
     クラス & 10進表記 & 2進表記 \\ \hline
     A & 255.0.0.0 & 11111111 00000000 00000000 00000000 \\ \hline
     B & 255.255.0.0 & 11111111 11111111 00000000 00000000 \\ \hline
     C & 255.255.255.0 & 11111111 11111111 11111111 00000000 \\ \hline
     \end{tabular}
     \end{table}
    \end{center}
    
    \section{文献引用}
    
    今年度利用している教科書\cite{text}は,巻末に「参考図書」がいくつか挙げてありますが,
    論文や科学技術書で引用されている「参考文献」は,形式が少し異なります.今,
    ここで使用したように,文中の参照している語や内容をより深く知りたい場合に
    文献番号を参照し,巻末にその一覧を載せるのを,一般に参考文献と呼びます.
    そして,文中で参照することを「引用」と言います.英語では,citeと言いま
    す.文学系では引用とは,他の著書や発言を「」つきで自分の文中に掲載するこ
    とを言いますが,技術系ではそのような利用法はしません.
    
    5/30日の授業で利用した電子メールの送受信スクリプトは文献\cite{hara}から取ってきたも
    のでした.また,6/6日のWWWクライアントも文献\cite{matz}を参照して利用させていただい
    たものです.6/20日のRSA暗号化\cite{text2}も宿題で試しましたが,このような形式で引用
    するのが,技術文書の引用法です.WWWのハイパーリンクと構造的には似ていま
    す.
    
    \section{まとめ}
    
    相互参照と文献引用を含む例文を学習しました.構造は,初めのうちは分かりに
    くいのは当然です.少しずつ慣れて行けば,だんだんと\LaTeXe の便利さが分か
    るようになるのではないでしょうか.
    
    
    \begin{thebibliography}{99}
     \bibitem{text}
    野口健一郎,「ネットワーク利用の基礎」 (サイエンス社,東京,1999)
     \bibitem{hara}
    原伸一郎,「Rubyプログラミング入門」 p.299, (オーム社,東京, 2000)
     \bibitem{matz}
    まつもとゆきひろ,石塚圭樹,「オブジェクト指向プログラミング言語Ruby」
    	 p.89, (アスキー出版局,東京,1999)
     \bibitem{text2}
    野口健一郎,「ネットワーク利用の基礎」 p.151, (サイエンス社,東京,1999)
    \end{thebibliography}
    
    \end{document}
    

    • タイプセット

      相互参照や文献引用を含むソースをタイプセットする際には,続けて2回行いま す.1回目のタイプセットで対応関係を調査し,2度目のタイプセットで番号を振 る作業を行うようになっています.ソースを修正した場合など,1回だけのタイ プセットだと,引用番号が??になっている場合があります.

    • 図の準備

      図の番号を参照するために,あらかじめ図を用意しておきましょう.4/18日の webテキストの図1はSylpheedの画面ですが,これを準備することを行います.図 を右クリックして出てくるメニューから「画像を名前をつけて保存」を選択して, ダイアローグで適当な場所に保存します.これから試そうとするTeXのソースと 同じディレクトリに置くようにして下さい.そして,以下のコマンドによりEPS 形式に変換します.

      $ convert header.jpg header.eps

      ファイル名はデフォルトのまま保存すると,header.jpg なので,それ をそのままEPS形式に変換するよう想定しています.また,サンプルのソースで もその名前でタイプセットするようにしています.

    • 表の罫線

      表については非常にややこしいので,参考書などを見ながらでないと作成するこ とは難しいでしょう.ここに挙げてある例は,かなり簡単なもので,全てのセル の回りに罫線があるタイプです.罫線については,縦の罫線と横の罫線で表現が 異なります.横については,\hline を用意することによって,表の幅 いっぱいの罫線を引きます.部分的に引く場合には,\cline を使いま す.

      縦の罫線は,表の最初にある {|c|c|c|} の部分で指定しています.こ れは,コラムが3列あり,その全てのコラムの文字を中央揃えにし,縦の罫線を 引くことを意味しています.右揃えは r,左揃えは l (エル) です. | が無いとその部分の縦罫線は引きません.

    • 相互参照

      数式,図表などを自動で番号づけする機能は,\ref コマンドを使用し ます.コマンドのカッコで囲まれた引数は「ラベル」になりますので,実際の式 や表の場所にそのラベルを \label コマンドで記述しておくことによ り対応がつきます.このサンプルの例では,式や図,表を便宜上区別するために figure: のような文字を入れていますが,無くても動作に影 響ありません.

    • 文献引用

      文献引用は \cite コマンドです.相互参照と似ていますが,文献を用 意する部分が根本的に異なります.ここで使用しているのは,もっとも良く使用 される \thebibliography 環境です.例文のように文献一覧を作成し ておけば,{}の中のラベルで引用できます.{99}はおまじないのようなものだと 思っておいて下さい.

  3. 実習作業

    上記の例文に数式や表などを追加して相互参照機能の応用を試して下さい.また, 文献引用も試して下さい.

  4. 小テスト

    授業の終了20分前くらいにAクラスBクラス別の小テストを実施します.アナウ ンスに注意してください.また,提出は電子メールにより行いますので,メール の送信準備は忘れないでいて下さい.

  5. 宿題

    授業の終りに宿題(AクラスBクラス)の説明をしますので,アナウンスに注意してください.


目次ページへ戻る