コンピュータネットワーク基礎
2005.05.20

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  1. 本日の作業内容



  2. 出席確認

    電子メールで出席確認をします.宛先など以下の情報を用いてメールを作成し, 出席申告してください.なお,キーワードは授業中に紹介します.

    提出形式

    宛先 justice@mag.shimane-u.ac.jp
    件名 AttendA_05-20_net_s0340** Aクラス
    AttendB_05-20_net_s0340** Bクラス
    本文 学生番号
    氏名
    キーワード
     
    (改行)
    (改行)
    キーワードは授業中に紹介
    注意 「件名」の**をそのままにしないで,必ず自分の学生番号 に修正して下さい.また,ABクラス別は指示にしたがって下さい.

  3. 前回の宿題について

    前回の宿題としたCRC(巡回冗長検査)において,Webテキストの記述に間違いがあ りました.テキストの方は修正済ですが,宿題に関しては口頭で説明しますので 注意して聞いて下さい.

  4. LAN

    職場や教育機関など多数のパソコンを利用する環境では,コンピュータどうしが 同じネットワーク資源を共有しています.このような形態を,ローカルエリアネッ トワーク (LAN) と言います.この授業では,LANとして現在定着しているイーサ ネットについて,先週に引続き学習します.

    • イーサネット

      速度やケーブルに関する内容は先週紹介しました.ここでは, ifconfig コマンドをもう一度利用してネットワーク設定を確認するととも に,速度についても調べてみましょう.まずは,自分の使用しているパ ソコン (ネットワーク上では末端に位置する機器,ホストであるので以 後は,端末と言います) の情報を復習してみましょう.

      $ /sbin/ifconfig

      として結果を見てみましょう.教室の環境では,先週も見たようにデータのエラー や欠落が無いはずです.快適な環境なので,データの転送速度もかなり早く,快 適であることが予想されます.それを試してみましょう.先ずは,LANの中にあ るサーバからデータをダウンロードする際の速度を見てみます.データの転送に は,FTPアプリケーションである,gFTPを使ってみましょう.FTPとは File Transfer Protocol の略で,ファイル転送を扱うアプリケーション層のプロトコ ルです.GNOMEメニューの「アプリケーション」の「インターネット」の中にあ りますので,アイコンを選択して起動します.図1に示すウィンドウが現れます. このウィンドウのデザインは「ノートンのコマンダー形式」と呼ばれるもので, OSに関わらず,FTPツールで良く利用されるものですので,この機会に覚えてお きましょう.

      図1 gFTPの画面

      ホスト欄に sv001 ,ユーザの欄には自分の教室のログイン名,パスワー ドの欄には同じく教室のパスワードを入れて,左のコンピュータが2台あるアイ コンをクリックして下さい.接続が行われ,左のウィンドウに自分のホームディ レクトリのファイル一覧(こちら側を「ローカル」と言います),右にはサーバ側 (こちら側は「リモート」と言います)の自分のホームディレクトリのファイ ル一覧が表示されます.(実は,両者は同じものなのですが...)

      右側のディレクトリウィンドウの一番上には上に戻る矢印記号と上の階層を表す .. が表示されています.これをクリックして上部へ移動し ます.トップ階層 ( / ディレクトリ) まで上がって,次に tmp/05-20 に降りて下さい.そこに,gftp.xwd と いうサイズが792kBの画像ファイルが置いてあります.これを自分の端 末へダウンロードしましょう.ファイルを選択し,中央に左向きの←を クリックすると,ダウンロードが開始されます.終わると,一番下のウィ ンドウに統計情報が表示されます.赤字で転送速度が表示されます.通 常の学科LANの中で試したところ,11219.10 KB/秒 という結果でしたが, ギガビット接続している教室ではいかがだったでしょうか.

      学外にある ftp.ring.gr.jp との間でファイル転 送を行ってみると,ネットワーク速度が低下しているのが分かるはずです. 方法としては,このままgFTPを使ってみましょう.ホストのところに,

      ftp.ring.gr.jp

      を入力し,ユーザ名はanonymous,パスワードはメールアドレス です.

      このように自分の固有のアカウントではなく匿名でFTPを許可しているサー バもあります.その場合には,パスワードとして自分のメールアドレスを使う決 まりになっています.

      ダウンロードを行うファイルは,同じく画像ファイルとしてみますが,場 所が違っています.

      /pub/graphics/tgif/samples_tgif

      というディレクトリに

      earth.obj

      というファイルがあります.ダウンロードすると,速度はどうだったでしょ うか?(昨夜のテストでは265KBpsでした.)

    • 衝突検出

      イーサネットは例えてみると,単線の鉄道に列車を走らせるようなものです.た くさんの端末が接続されていますので,それらが勝手に情報を伝送すると信号が 加算されてエラーになります.そのため,衝突検出機能が用意されています.こ れは,自分がデー タを送出しようとしたときにネットワーク上をデータが流れていると,送出を中 止し,乱数により決められる時間だけ待った再送出を行うものです.実際に衝突 が発生したかどうかも ifconfig コマンドで確認できます.

      教科書には書いていないもので重要な要素に「コリジョンドメイン」があります. データは伝送線路上を有限の速度で伝搬します.そのため,衝突が別の場所で発 生したときにその情報が送信元に届くまでに時間がかかります.その時間遅れの うちに送信を終了してしまうと,コリジョンが発生したことを送信元は知らない ために,データの再送が行われません.コリジョンドメインはその範囲内の衝突 はすべての端末に通知されなければならない,と言う範囲で,10BASE-Tでは 2500mとされています.信号の往復に必要な時間だけ信号を送信し続ける義務が あり,2500mの距離を考慮して,64オクテット(64×8ビット)がフレーム伝送の最小単位とされ ました.

      しかし,ファーストイーサネットではデータ量が10倍に増えていますので,同じ コリジョンドメインが割り当てられると,640オクテットが最小単位とされてし まいます.たとえ,1ビットのデータを送るのにも,5kb以上のフレームを送ら ないと行けなくなります.そのため,コリジョンドメインは200mに短縮されまし た.

      ギガビットでは伝送量がさらに増えています.もともとが250Mbpsを4本ペアで送 信するややこしい形式ですが,フレームバーストと言う複数のフレームを合体さ せることを認めるさらにややこしい方式で,512オクテットを最小単位としています.

    • LANの接続

      LANの中の端末 (これを「ホスト」と呼びます) は「ルータ」を経由して他のLAN やネットワークに接続されています.先週も説明しましたが,通常,ルータはホスト上 では「ゲートウェイ」として設定されています.教科書の図7.2にあるようなホ ストAは,自分ではルータaとルータbを選択することを行いません.なんらかの 出口としてのゲートウェイを探すだけです.ゲートウェイがルータbであるとす ると,ルータbがホストB宛ての経路はルータaの方であると判断して接続の向き を変更します.ですので,ただのホストは経路制御を行わず,ルータの方で適切 に実行されます.

      また,LANの中でのホストどうしの接続は「ハブ」を経由して行われます.教科 書の図6.1にあるように,基幹ネットワークとパソコンの間にハブを組み込んで, 多くの台数のパソコンを一つにまとめて「上流」に接続します.通常ポートが8個や 16個のものがよく用いられますが,その内の一つのポートは「アップリンクポー ト」と言って図6.1にあるように,上流側に接続するために使用されるので,実際 にパソコンが接続できるのは一つ少ない「口数」となります.また,ハブの下にまた ハブを接続することも可能です.このような接続を「カスケード接続」と言いま す.

      もと もとあったハブは所有するすべてのポートに同じ信号を流します.最近主流であ る「スイッチングハブ」はポートごとにそれぞれ対になる経路を内部に持ってい て,必要なポート間の接続を適切に行います.これにより,通信速度の向上や, 衝突の低減が行われています.ポートの選択は過去に使用したMACアドレスをハ ブが記憶していて,その経路を利用して行われます.また,信号を適切に伝達す ることで単純なリピータのようにノイズまで増幅して伝達することは無いので, カスケード接続において従来は4段が限界であったものが,スイッチングハブで は段数に限界が無くなりました.

    • パケット交換

      データの伝送は,データの長さが不定長であるため,個別の経路を独占して通信 を行うと,無駄が多くなります.そのため,一定のサイズごとに送信する方式が 採用されています.その分割されたデータを「パケット」と言います.元のデー タをパケットに分解して伝送しますが,TCP/IPを利用していれば,パケットは連続している必要はありませ んし,正しい順番で届く必要もありません.受け取った側で再構築して復元でき るからです.これにより,教科書の図7.4にあるように別の通信経路のデータが 混入しても,ヘッダ情報により正しく伝達されます.

      フレームのデータの上限は教科書のp.56にあるように通常1500バイトとなってい ます.この値も ifconfig コマンドで確認できます.また,伝送中の パケットが迷子になって永久にネットワーク上を彷徨うことが無いように,生存 期間 (Time To Live, TTL) が決められています.これまで何度か使用した ping コマンドのパケットのTTLがいくつに設定されているか,調べてみま しょう.

  5. インターネット

    世界中のコンピュータが接続できるように,「インターネット」の仕組もさまざ まなプロトコルで規定されています.その基本は,5層モデルでの第3層にあたる ネットワーク層であり,インターネットではIP接続が基本です.これについては 次週説明する予定ですので,本日は簡単にネットワーク上の「名前」であるホス ト名について学習しましょう.

    • ホスト名とドメイン名

      自分の電子メールのアドレスを最初からすぐに覚えられる人はあまり多くありま せん.慣れて来ると,規則性が分かりますから簡単なのですが,最初はアルファ ベットの羅列として認識してしまうので覚えにくいものになっています.この名 前はホストが実際に認識するIPアドレスが人間には理解しにくい数字の羅列であ るのを,理解しやすくしたものですから規則性が分かれば簡単です.

      日本でこの名前を管理しているのはJPNICという組織ですが,ここも組織として の名前 (ドメイン名) を割り振るだけで,個別のホストの名前はその組織が決め ます.本学では,総合情報処理センターに登録する必要があります.以下ではそ の仕組について学習します.(表9.3,9.4,図9.9)

    • 名前解決

      教科書p.98の(1)〜(4)までを見てみます.(5)については自分の環境からは分か りません.また,最近ではこの構造以外にもドメインが用意されているので,そ れについても確認してみましょう.

      トップレベルドメインgLTD 国ごとの識別ドメインを持たない最上位階層ドメイン..com が有名で あるが,他にも .org など多く利用されている.教育機関を表す .edu などはアメリカ国内でのみ利用が可能.もともとはアメリカ国内用の 階層.
      ccLTD 国別トップドメイン.日本であれば,jp というようにアルファベット 2文字で表される.このドメインに属するサブドメインは各国別に管理されてい る.原則は国内の利用者用のドメインであるが,希望ユーザに「販売」して外貨 を稼いでいる国もある.
      第2レベルドメイン 日本の場合は表9.4のように規定される.大学は ac ドメインに属する.
      第3レベルドメイン 組織名が該当する.会社名や大学名など.大学は分かりやすいように,最後に -u がつくものが多いが,無い大学もいくつかある.
      第4レベルドメイン 組織内で,さらにネットワークを細分化する際に利用される.総合理工学部は riko というドメインになっている.
      ホスト名 通常はこの階層に個々のホストの名前が指定される.教室の端末はLANの中なの でこのような階層構造に含まれていないが,ホスト名はそれぞれ持っている.トッ プレベルドメインからホスト名まですべてを含む完全な名前をFQDN (Fully Qualified Domain Name) と呼ぶ.
      特殊なドメイン地域ドメイン 自治体などが利用することを目的に作られたドメイン構造.ただし,個人が取得 することが可能である.松江市のドメインは city.matsue.shimane.jp 島根県は pref.shimane.jp ,島根町だと town.shimane.shimane.jp のようになっています.
      日本語ドメイン 2001年よりドメイン名に英数字以外を利用することが可能になった.しかし,世 界中の人がすべての言語を利用できるわけではないので,使用に関しては問題が 指摘されている.2003年くらいからだんだん普及していくことが予想されている.
      ドメイン名の短縮,見掛け上の変更CNAME ドメイン名は分かりやすいのが一番であるので,直感的に覚えやすいようにネー ムサーバで読みかえを行うことが出来る.良く使用されるのは,WWWサーバが独 自の名前を持っていても,wwwで検索できるように名前を変更することである. 例えば,このテキストが置いてあるサーバもFQDNは ecs.riko.shimane-u.ac.jp であるが,覚えやすいように別名として www.ecs.shimane-u.ac.jp と言う名前を持っている.このような読みかえ をCNAME (Canonical NAME) と言う.
      MXレコード 電子メールアドレスも覚えやすい方が好まれる.特に,第4階層,もしくはホス ト名の省略が良く使われる.宿題提出用のアドレスも第4階層を省略したものとなっ ている.このような読みかえをMX (Mail eXchange) レコードと呼ぶ.

      このようなドメインの名前から来週行うIPアドレスへの変換,もしくは,その逆 は nslookup コマンドにより行えます.さらに,CNAMEを利用している アドレスの本来のFQDNもこのコマンドにより確認できます.引数無しでコマンド を利用すると,自ドメインのネームサーバに接続し,入力を待つ状態となります ので,そこで知りたいドメインやIPアドレスを入力することにより参照できます. (終わるためには exit を入力します.)引数にFQDNなどを指定して利用すると,その結果を返してくれます.

  6. 本日の実習作業

    • FTP転送速度

      最初に紹介したFTPによる転送速度ですが,学外のデータをダウンロードすると, 途中のLAN内のような高速転送が出来ないことが分かります.自分で適当なファ イルをダウンロードできる人は速度を試してみて下さい.gFTPによる転送は難し いので,WWWブラウザを利用して表示している画像を右クリックによりダウンロー ドしてみると,速度が表示されますのでどのくらい速度が低下したが分かるでしょ う.

    • ルータの経路

      メールサーバである matsu.ipc.shimane-u.ac.jp にTELNETにより接続 すると最初に最後にログインした情報を表示してくれます.(初めてログインし たときには表示されないのでいったんログアウトしてもう一回接続する必要があ ります.)このときに,どこから接続してログインしたかと言う情報も表示され ます.みなさんは教室のパソコンからログインしていますが,教室のパソコンは ルータにより隔離されたファイアーウォールの中にあるので,パソコンの情報は ソとには伝わりません.そのため,ログイン時に表示される情報はルータの情報 となっています.確認してみて下さい.

    • 最大伝送データサイズ

      ifconfig コマンドで最大のデータ伝送サイズも確認できます.MTU (Maximum Transfer Unit) と表示されています.確認してみましょう.

    • TTL

      転送データが迷子になっていつまでも彷徨うことはネットワークに負荷を残すこ とになるので,情報が生きている時間をTTLとして設定してあります.ping コマンドで確認してみましょう.次に揚げるホストに対して使用 した場合のTTLの変化を確認して下さい.

      sv001
      ecs.riko.shimane-u.ac.jp
      ifse1.riko.shimane-u.ac.jp
      matsu.ipc.shimane-u.ac.jp

    • フラグ

      自分のホストが属する経路情報は netstat route コマン ドで入手できます.その際に,ネットワークインターフェイスの状態を「フラグ」 (旗)という記号で知ることが出来ます.これにはいくつか種類がありますが,知っ ておくべきことは多くありません.Uと表示 (Up) されていれば,それは有効です.Gの 表示はゲートウェイを使用することを示しています.コマンドで確認してみましょ う.

      $ /sbin/route

      $ netstat -rn

    • 名前解決

      nslookup コマンドで種々の名前解決に挑戦してみましょう.

  7. 小テスト

    授業の終了20分前くらいに小テストを実施します.アナウ ンスに注意してください.また,提出は電子メールにより行いますので,メール の送信準備は忘れないでいて下さい.

    Aクラス小テスト
    Bクラス小テスト

  8. 宿題

    授業の終りに宿題の説明をしますので,アナウンスに注意してください.

    Aクラス宿題
    Bクラス宿題


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