エレクトロニクスセミナーA
2000.5.19
突然ですが、来週(5/26)は縄手が出張のため休講とします。残念ですが、復習や自習に充ててください。
Mewが起動しないもしくはメールを読み込めない原因に関して、以下に示す例もあることが判明したので報告しておく。参考にすること。
wwwブラウザは画面に収まりきれない長い行を自動的に折り返して画面内に納める機能を持っている。そのため、.emacsの設定例文に関しても本来は一行に納めるべき物が二行にわたっているように見えてしまうことがある。実際は一行で記述するべき設定が途中に改行を入れることにより複数行になってしまうと、エラーとなりMewが起動しない。ブラウザのウィンドウの右下にカーソルを当ててドラッグすることによりウィンドウサイズが変更できるので、右側にドラッグしてウィンドウの幅を広げてみて本来の設定を確認すること。
~/.im/Configファイル中に
#Imget.Src=
で始まる行がもともと二カ所あった。そのうちのどちらか一方の行に関して、#を削除し、自分のPOPアカウントを設定することによりメールをサーバに読み込みに行くことができる。ところが、二カ所とも#を外してしまった場合、エラーとなる場合があるので、メールの受信ができない場合には確認すること。
受信するメールの数が増えてくると、分類してフォルダに整理するだけでなく削除する必要のあるメールも出てくる。先週の授業で簡単に触れた削除方法について改めて紹介しておく。
Mewではフォルダにあるメールに何らかの記号をつけて処理をする形式を取る。Refileと呼ばれるフォルダへの移動を行う場合には、移動先を決めたメールにoマークがついた。このように、メールを選択し、必要な処理を行う方法が基本である。
削除については、削除したいメールにカーソルを移動し、メニューバーのMewからDeleteを選択するとメールにDマークがつく。その後で、同様にMewメニューからExecuteを選択すると削除が実行される。
電子メールを誰かに送信する際にきちんと相手に届いているか、はじめのうちは心配な物である。相手のサーバまで届いたという確認を行うReturn-receiptというものもあるが、通常はエラーメッセージが返ってこなければとりあえず大丈夫である。それでも不安であれば自分宛にCc. (Carbon Copy の略) を付けるという方法もある。これだと、メールの設定が正しく行えている場合にはちゃんと自分宛にもメールが届くことを確認できる。また、人に送ったメールの控えを残しておく役目も果たす。送信メールの控えとしてはMewの設定でBackupを取る、という方法もあるのでここでその二つを紹介する。
.emacsファイルに以下の行を追加する。
(setq mew-cc "s0040**@matsu.shimane-u.ac.jp")
ここで、**は自分の学生番号下二桁である。
この設定によりメールを送信する際に常にCc.として自分宛にメールが送られるようになる。自分宛メールが不要の場合には、送信時にCc.の行を削除すれば良い。
.emacsに以下の行を加える。
(setq mew-fcc "+send")
この行はsendというディレクトリを新たに~/Mailフォルダに作り、送信メールの控えをその中に順番に番号をつけて保存する設定である。メールの送信数が多い場合には、Cc.により毎回メールの送受信を自分宛に行うよりも効率がよい。
上記の二つの方法のどちらかを利用してメールの保存をしておくと、送信エラーなどでメールが届かない場合や後から自分の出したメールを整理したいときに役に立つ。
言語にアルファベットだけを使用する文化圏では使用する文字が少ないので、文字を表現するのに8ビット(1バイト)で十分である。実際には送信時に最終ビットを制御用に用いたりした経緯もあって7ビットで表現される文字(128文字)が利用できる。電子メールはそのように一つの文字を7ビットで表した文字コードを利用して情報をやり取りするシステムである。
ところが、日本語にはひらがな、カタカナ、漢字など文字の種類が多く、特に、漢字は字数が多い。そこで、2バイトを使って文字コードを当てはめることが行われているが、電子メールでは上述のように1バイトで情報交換を行っているので、特殊な処理をして2バイト文字をやり取りしている。(JISコードを用いてiso-2022-jpという文字セットを使っている。)それを電子メールで行う仕組みがMIMEとよばれるコード化方式であるが、その拡張としてメール中にテキスト(文字)ではないバイナリファイルを埋め込んで送受信する機能が用意されている。一般には、添付書類、添付ファイルなどと呼ばれている物がそれである。
添付ファイルはバイナリーデータであるのでアプリケーションのみならずプラットフォームに依存するデータ形式である。事前にお互いで確認を取らないと相手がそのバイナリーデータを扱えるかどうかわからない。よって、むやみと利用するべきではなく、あくまで個人間で合意の上で行うべき手段であるので注意すること。Internet Explorerなどではデフォルトのメール形式がこのMIMEを利用したマルチパート形式なので、自分で利用する際には、何はともあれメールの形式をHTMLではなくプレーンテキストに変更する必要がある。
Mewで添付書類をメールにつけるには、新規に送信メールを作成した後、Mew/DraftメニューからPrepare Attachmentsを選択する。すると、
------------------------------ attachments ------------------------------
Multipart/Mixed 1/
1 Text/Plain(guess) CoverPage*
2 .
--------0-1-2-3-4-5-6-7-8-9----------------------------------------------
という行が文末に挿入される。CoverPageとはメール本文のことであり、2以降が添付ファイルである。添付するファイルを選択するためには、Mew/DraftメニューからAttachment Command --> Inser a FIle by Copyingとすると、ミニバッファに
Copy from :~/
のように自分のホームディレクトリを起点にファイル名を聞かれるので入力するか、スペースキーを押してディレクトリモードから選択する。Enterを押すと、次に
Copy to: (先ほどのファイル名):
と聞かれるので同じ名前で良ければそのままEnterを押し、変更したければ自分でファイル名を入力する。
さらに別のファイルを添付する場合には今の操作をもう一度繰り返す。また、送信手続き自体は通常のメールと同じである。
相手から添付書類付きのメールが来た場合には、メール本文を開いて次の部分をスペースキーで実行すると、ファイルを保存するか聞かれる。ここで、yキーを押すことにより、任意のディレクトリに任意のファイル名で保存できる。
ただし、ウィンドウズやMacのワープロ文書やその他のバイナリファイルは保存しても利用できないことが多い。
論文作成術p.167からTeXを用いた文書作成について説明されている。今回からしばらくは教科書に沿ってTeXの利用法を学習する。
TeXはいわゆるワープロとは全く異なった「組版」ソフトである。ワープロはMacが始めたWYSIWYG (What You See Is What You Get, ウィズィウィグ) と呼ばれる画面で見たままをプリンタで印刷する方式が基本であるが、TeXでは、マークアップランゲージと呼ばれるテキスト中に制御文字を埋め込む形式となっている。マークアップランゲージは最近ではHTMLの普及により多くの人が知るようになったが、HTMLを知っていればTeXの制御構造も理解しやすい。
HTMLに関してもTeXの後で取り扱う。
TeXにおいては、まず、テキストエディタによりソースファイルを作成する。ここで、拡張子が必ず.texとなっていなければならない。次に、コンパイルという作業を行ってdviファイルと呼ばれる中間ファイルを作成する。このファイルにより印刷イメージを画面に表示したり、プリンタに出力することができる。ポストスクリプト言語を理解するプリンタであればdviファイルからポストスクリプトファイルに変換してよりきれいに出力することも可能であるし、ポストスクリプト形式に変換しておくとプラットフォームに依存せずファイルをやり取りできる。
TeXは、WYSIWYGで無いため、初めての場合にはとまどうことも多いし、実際に自分で制御構造を記述する必要があるためある程度の技術と熟練を要する作業である。しかし、それだけの代償を払っても美しい数式表現(理科系の論文においては重要な要素である)と章番号や参考文献などの自動整理(これも論文においては重要)の機能があり、しかも、分量の大きなファイルを扱うことも可能であるので学位論文を纏めるに当たっては覚えておいた方が便利である。
教科書p.168からの例文に従い、各自で作業を行うこと。教室の環境に合わせた手順は以下のようにする。
TeXは一つの文書に関して4つのファイルが必要となる。文書をたくさん作成するようになるとディレクトリ内が煩雑となるので、専用のディレクトリを作成することが望ましい。よって、例えば、
$ mkdir tex
のようにディレクトリを作成し、
$ cd tex
でディレクトリを移動する。その後で、
$ xemacs new.tex &
の様に例文用のファイルを作成する。
教科書にあるように例文を作成したら一度保存を行う。XEmacsはそのままで、Kterm内で以下の作業を行う。
$ platex new.tex
ソースファイルに間違いがなければコンパイルがすぐに終了するが、記述におかしいところがあった場合にはエラーが表示されるので、エラーの内容に従ってXEmacs上のソースファイルを訂正する。Kterm上のエラーメッセージ表示はqキーを押すことによりコンパイル作業を中断できるので、一度終了させ再び先ほどと同じplatexコマンドを実行する。エラーがすべて無くなればコンパイルは終了する。
$ xdvi new.dvi &
とすることによりxdviが起動し、先ほどの文書を画面に表示する。xdviはメニューボタンを装備しているので作業はボタンをクリックすることにより行える。今日はまだ印刷は行わない。
授業の進み具合に応じて課題を課すのでアナウンスに注意すること。