フレームについて

  1. フレームとは

    フレームとは英語のflameであり、「炎」(名詞)や「燃え上がる」(動詞)という意味である。すなわち、メーリングリストやネットニュースにおいて参加者がかっと熱くなり言い争いや口論になってしまうことを指す。しかし、通常は一人もしくはごく少数の人間が周りからの指摘や批評を受け入れられず、わがままで身勝手な議論を延々と続けることが多く、双方言い争いになることは少ない。つまり、ごく少数の人間に関して、世間一般の常識や人間としての素養のなさが原因で起こるトラブルである。


  2. フレームはなぜ起こるのか

    事例1

    例えば、ネットニュースでこんな質問があったとする。

    松江に住む学生、パソコン初心者です。教えてください。

    このたびパソコンを買いましたが、日付の合わせ方がわかりません。どなたか、よろしくお願いします。

    これに対して、以下の3つの回答が寄せられたとします。(ネットニュースはバケツリレー方式で世界中を回るが、記事は必ずしも投稿された時間順に配送されるわけではなく手近な場所からリレーされ、場所によっては順不同で配送されたり、時間がかかったりして複数の人が初めてのつもりで回答することが良くある。)

    回答1.

    それはマニュアルの○○ページに載っています。設定方法はそこに書いてあるように、コントロールパネルを開いて日付と時刻のアイコンをダブルクリックしてください。そうすると時刻設定欄が表示されるのでその時間を正しい時間に合わせてください。

    回答2.

    人に聞く前にまずマニュアルは読みましたか?そのようなことはマニュアルに書いてあるはずです。

    また、ここはメーカのサポート窓口とは違います。きちんとユーザ登録しているのなら、サポート窓口に問い合わせましょう。

    回答3.

    初心者だからといって何でも許されるわけではない。自分できちんとマニュアルを読むなり何か対処の方法があるだろう。いちいちくだらない質問でネットワークに負荷をかけるな。

    さて、あなたならこれらの回答に対してどう思うだろうか?ここで、質問者に常識があれば、「そうか、まずマニュアルを読むべきだったな。今後は気をつけよう。また、親切に教えてくれたみんなに感謝しなければ。」となるはずであるが、この質問者は回答3.に対して、自分が丁寧に質問したのにぞんざいな表現で馬鹿にされたと思い、反論してしまったとする。

    いったいあなたは何様ですか?なぜ私が罵倒されなければいけないのでしょう。ここは恐ろしい場所です。初心者は皆逃げてしまいますよ。あなたみたいな無神経な人は発言しないでください。

    質問者は自分が言われもなくひどい中傷を受けたと思っており、周りのネットニュースを読んでいる人も自分の方に共感してくれると信じていた。ところが、

    回答3.の人はいったいいつあなたを罵倒したのでしょうか?回答3.の方は正当な「指摘」を行っただけです。
    ご自分がそう思ったからといって初心者が皆あなたと同じような人間だと思うのは間違っていると思いませんか?私も初心者ですが、回答3.の人の記事には何も問題が無いと思います。ちゃんとマニュアルを読むようにとあなたに親切に助言してくれています。
    これだからきちんと人間教育を受けていないやつは困る。自分が甘えん坊であることはおいておいて、人には変な要求をしてくるのはおかしい。結局は、「皆さん、私には優しくしてください」というお願いをしているだけの発言だよ。

    のような記事ばかりが続き、誰も自分に味方をしてくれない。そこで、常識のある人間であれば、「自分の考えが間違っていたのか。今後はもう少ししっかりしよう。」となるはずであるが、この質問者はそうしないで、自分がひどい言われようをしていることばかりが頭を駆けめぐり、さらに反論をした。


    皆さん、いったいどうしたんですか。なぜ、回答3.の人を擁護する発言があるのに私の意見は聞いてもらえないのですか?私は回答3.の人に中傷されました。それなのに、私の方が間違っていると言うんですか?ここは変な人間の集まりです。社会一般とはちがう特殊な世界ですね。皆さん常識を持ちましょう。

    顔が見えないからといって、何を言ってもいいわけではありません。礼儀や作法があるはずです。なぜ、見ず知らずの人から罵倒されなければいけないのでしょう。おかしいと思いませんか?

    これで立派なフレームのできあがりです。この質問者は常識が無かったばかりに孤立無援の無意味な投稿を続け、今後も何人もの人から指摘され続けることになるが、自分が正しいと思いこんでいるので批判を正当に受け入れることができず、ネットニュースは恐ろしいところだというところで思考停止してしった。


    事例2

    また、こういう事例はどうであろうか?ここでの質問者はメーリングリストに質問をして親切な回答を得た。そこで、お礼を言おうと思って以下のようなメールをメーリングリストに出した。

    このたびは皆さんお世話になりました。無事に解決しました。本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

    ところが、このメールに対して複数の人から以下のような内容のメールが送られてきた。

    このようなお礼だけの情報量のないメールは不要です。ちゃんとサマリーを投稿するのなら意味がありますが、お礼だけのメールはやめましょう。

    質問者は愕然とした。自分は感謝の気持ちを表すためにお礼のメールを送ったのに不要だとしかられてしまったからだ。なぜ、自分の気持ちが伝わらないのだろう。そう思って、指摘されたことをちゃんと理解できずに、反論メールを出してしまった。そうなるとフレームのできあがりである。では、なぜ、質問者は批判されたのか?

    理由は、不要なメール、内容のないメールは誰しも歓迎しない、という当たり前のことにある。専用線で接続してメールを読んでいる人間ばかりが居るわけではない。電話回線経由で通信料を時間に従って支払っている人間もいるし、出先で仕事のメールを確認する必要があるので忙しい合間を縫ってメールチェックしている人間もいる。大事なメールならばどのような手段であれ、読むことに問題はないが、どうでも言いメールまでお金や時間を使って読みたくはない。すなわち、情報量の無いメールはなるべくネットワークに流して欲しくない、という要求が根底にある。

    では、お礼のメールは不要なのだろうか?そうではないことに、先ほどの批判メールをきちんと読めば気づくはずである。サマリーというのがキーワードである。すなわち、

    このたびはお世話になりました。皆さんに教えていただいたとおり、○○を××のように設定し、△△を実行し直したら無事に動くようになりました。

    教えていただき感謝しております。

    というように、回答結果を反映した解決策をまとめたものを投稿すれば良いのである。でもどうしてか?メーリングリストの記事やネットニュースの記事は蓄積されて、webで閲覧されることが多い。そのときに、過去に同じような問題で困った人がいればそれに関する回答もそこの中で得られるからである。元の質問者がきちんと解決策をまとめておけば、新たに同じ問題に遭遇した人間は、メーリングリストやネットニュースに質問しなくても、過去のメールやニュースを検索するだけで回答が得られ、無駄な質問の繰り返しや、ネットワークに負荷をかけることを回避できる。これは大事なことである。同じ質問ばかりが何度も繰り返されるメーリングリストやニュースグループにはあまり魅力はない。

    ということで、自分でも何か質問したいことがあれば、まず、マニュアルを見る、FAQ (Frequently Asked Questions) を見る、メーリングリストやネットニュースの過去の記事を検索する、ということをやってから質問するようにしよう。

    注)FAQとは頻繁に繰り返される質問に対してあらかじめ問答集を用意しておくことである。