5. 電子メール

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電子メールはUNIXの進歩とともに普及してきた経緯 (というよりも今日のネットワー クがUNIXとともに発展してきた、という方が正しいようです。)から、当然、電子 メールを扱うツールも豊富にそろっています。ただし、テキスト情報しか扱えない 頃から電子メール用のツールが存在していたため、依然としてテキストベースのそっ けないものもたくさんあります。それはそれで、重宝することが多いのですが、最 近になって電子メールを始めた人にとっては、味気なかったり敷居が高かったりす るかもしれません。個人的には、そのころの電子メールは携帯電話でメールをやりとりするのと同じような 感覚では無かったかと思います。

さて、ここでは、この環境で使用できるツールの紹介をしますが、あまりにたくさ んのツールがあるので、ごく一部に限って説明させていただきます。

  1. mail

    mailというのはターミナルから操作するコマンドベース (キーボードからコマンド を打って操作するもの) の環境です。UNIX系のシステムには必ず備わっているもの ですが、それは、かつてのUNIXワークステーションはすべてそれ自体がメールサー バであったという古きよき伝統に基づいたものです。今では、SPAMとよばれる悪意 を持ったメールの送信に使われないように、メールサーバの使用は慎重に行わなけ ればならないので、このような簡単なメールツールはあまり使用されていません。 しかし、メールサーバ上にリモートログインできると、ターミナル上で使用できる ので、ネットワーク越しにちょっとメールをチェックするような用途には十分対応 できますし、実際にネットワーク管理者やUNIXに詳しい人はこの環境に重宝してい ます。

  2. mh, Mew, Wanderlust, mutt, cmail, etc.

    なにやらたくさんありますが、これらはすべて(X)Emacs上で使用するツールです。 このように、電子メールの読み書きや送受信を扱うツールを Mail User Agent (MUA) と呼びます。メールサーバで動いているのは、Mail Transfer Agent (MTA) といいます。ネットワークに詳しい人は、この MUA や MTA という言葉をよ く使用しますので、慣れておくとともに、自分でも使ってみると「通」のような印 象をもたれて尊敬されるかもしれません。たとえば、「私はMUAとしてBecky!を使っ ています」という感じでしょうか。

    さて、これらの MUA は Emacs の一つのモードとして働きます。文章を作成するエ ディタ上でメールの作業までできるので、使い込んだ人にはまさに手になじむ道具 ですが、そのための設定など面倒なこともいろいろあるので、今日のところは紹介 だけにとどめておきます。

  3. Sylpheed

    Slypheed (シルフィードと読みます) は最近急激に人気の上がってきた MUA です。 Sylpheedは、この3月まで大阪大学の学生だった山本博之氏が個人で開発してきたもの ですが、今では多くの人がパッチの作成などに協力し、海外でも広く利用されるよ うになっています。Vine Linuxにおいても、バージョン2.1から標準ツールとして採用されました。人 気の秘密は、現在、市場に出まわっているメールツールの良いところをほぼすべて 取り入れた上で、動作が軽いことです。また、オープンソースの特徴である、バ グなどへの素早い対応もあるので、もはや市販のメールツールは不要と思わせるよ うなできになっています。各種のOSへの移行も進んでいく気配ですし、今後ます ます普及が期待されます。

    能書きはともかく、まずは、起動してみましょう。GNOMEメニューから「インターネッ ト」を選択し、「Sylpheed」と選ぶと起動します。画面を見ていただくとわかるように、 現在の主流のメール環境と同じようなウィンドウ構成を持っていることがわかりま す。使用する前には、設定を行わなければなりませんが、そのための操作もよく知 られているものとほぼ同じです。

    時間があるようでしたら、この中だけで送受信できる環境を利用して使用感を試し てみましょう。設定は、以下のように行います。まずは、「設定」メニューから 新規アカウントの作成」を選択します。でてきたウィンドウの次の部分に入力しま す。

    メールアドレス
    自分のログイン名を記入します。お配りした資料にあるlinux** (**は番号) です。

    受信用サーバ、SMTPサーバ(送信)
    sv003と入力してください。

    パスワード
    ログイン名と同じに設定してありますので、それを入力してください。

    入力が終わったら「OK」ボタンをクリックします。もう一つ残っているウィンドウ の「閉じる」ボタンをクリックします。送信準備に入る前に操作を簡単にするため にちょっとだけ表示を変えましょう。「表示」メニューの「ツールバー」を選択し 「アイコンと文字」にしてください。ボタンの意味がわかりやすくなったはずです。

    では、「作成」ボタンを押してください。新しくウィンドウが開いてメールの作成 画面が出てきました。「宛先:」に、自分のログイン名 (もしくはお知り合いの方と一緒に 来られた人はその方のログイン名でも構いません。)を入力し、「件名:」や本文 などは適当で構いませんので入れてみましょう。日本語を使用したい場合には、 「Shift」キーと「スペース」キーを同時に押してみてください。カーソル位置に[あ ]と出れば、ローマ字日本語入力ができます。文節の伸ばしやちぢめなどはちょっ と変わったキー操作になっていますので、必要な方は担当までお聞きください。ま た、取りやめるときも同様に「Shift」と 「スペース」です。作成が終わったら、そのウィンドウにある「送信」ボタンをク リックしてください。送信が終わるとメール作成ウィンドウは消えます。

    自分に宛 てて送った人は「受信」ボタンをクリックしてみてください。右のリストウィンド ウにメールが表示されます。スペースキーを押したり、リストウィンドウのメール をクリックしたりすると、メールウィンドウに内容が表示されます。


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