第33回振動基礎研究会「ちょっと一言」の提供話題

(敬称略)

(1) 話題提供者 成田吉弘(大和大学)
題  目  板の振動で「いくつの境界条件」を解析すると全ての組合せを網羅できるのか?
概  要  等方性正方形板にF(自由),S(単純支持),C(固定)の3つを仮定すると,3**4(辺)=81になるが物理的に意味がある(異なる固有振動数を持つのは)21通りである.これを理論的に求めるPolyaの計数理論を紹介する.
 
(2) 話題提供者 江南若葉(元筑波大学),藪野浩司(筑波大学)
題  目  モード局在化を用いた高感度質量計測への係数励振の利用
概  要  マイクロレゾネーに生じるモード局在化現象を用いた高感度質量計測法の研究が盛んに行われている. 液中における生体試料の質量観察では,高粘性環境化でモード局在化現象を高精度で計測することが必要になる. レゾネーターを正帰還フィードバックにより自励発振させる従来法とは異なり, 係数励振を用いることによりフィードバックを必要としないモード局在化現象の計測法を提案する.
 
(3) 話題提供者 天野佑基(鉄道総合技術研究所)
題  目  しゅう動摩擦が作用するパンタグラフの不安定振動に関する研究
概  要  電気鉄道における集電装置として一般的なパンタグラフでは、列車が走行する際にパンタグラフの上部に設置されたすり板とトロリ線の間にしゅう動による摩擦力が発生する.そして,この摩擦力に起因した不安定振動が生じており,そのメカニズムの解明および対策の確立を目指した種々の取り組みを紹介する.
 
(4) 話題提供者 丸山真一(群馬大学)
題  目  多自由度系の運動方程式に相対変位を用いると?
概  要  多自由度系を取扱う際に未知数に相対変位を用いる場合がある.何気なく相対変位を用いると,間違ってはいないものの,不自然な運動方程式になる例に気づいたので紹介させていただく.
 
(5) 話題提供者 星野洋平(北見工業大学)
題  目  北見工業大学オホーツク農林水産工学連携研究推進センターの紹介と農業関連機械の振動問題についてのご紹介
概  要  農業における高齢化・労働力不足に対して,農業機械の知能化・自動化・省力化が求められているため,工学的な研究を進めています.実施中の研究と,振動が問題となっている事案を紹介します.
 
(6) 話題提供者 小松崎俊彦(金沢大学)
題  目  メタマテリアルを用いた音の伝播制御に関する研究動向について
概  要  音響レンズ,音波偏向,指向性制御等,音の伝播特性を制御する音響メタマテリアルに関する最近の研究動向について紹介する.
 
(7) 話題提供者 金色一憲(自動車メーカー OB)
題  目  エンジン・トライボロジーからの摩擦振動への疑問
概  要  学生時代に舶用機関のトライボロジーを専攻.ストライベック線図で,「バイオリンは擦弦速度が速くなると、音は出なくなるのか?」との疑問を持った.2005年の「世界物理年」の行事で,糸川英夫博士のバイオリン研究は,”戦闘機開発中に発生したフラッタリング事故の原因究明”だったと知った.また,1995年の高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故原因に疑問を持っています.現在、高速擦弦試験模型の試作検討中です.
 
(8) 話題提供者 原田晃(長崎大学)
題  目  バンドギャップとメタマテリアル化領域の関係について(ポストD&D2022)