代表的な非線形振動系であるDuffing系に対して狭帯域不規則励振を加えたときに,応答に2つの異なる状態が生じ,それらの状態間を推移する確率論的ジャンプ現象を生じることがあります.
この確率論的ジャンプ現象において,励振の帯域幅が広くなり振幅の変化が激しくなると,応答振幅による状態の区別が難しくなります. そこで,ウェーブレット変換結果の積により,励振と応答の位相差を正負の符号として抽出し,応答の状態を判別する方法を開発しました. この判別法を用いて,狭帯域不規則励振の性質とジャンプ現象の関係を調べています.
応答の標本関数 | 励振と応答の位相差 | 応答の状態を表す指標 |
卓越振動数の周りになだらかに広がる振動数成分を持つ狭帯域不規則励振は,その振動数成分を表すパワースペクトル密度で規定され,以下の2つのモデル化が考えられます.
これらの2つのモデル化では,パワースペクトル密度は同じであるものの励振の確率密度が異なるということにより,これらに対する応答の性質が大きく異なる場合があります.
これらの差がどのようなメカニズムで生じるのかを研究しています.
励振のパワースペクトル密度 | 応答のパワースペクトル密度 |
励振の標本関数とヒストグラム (モデル1) | 1自由度線形振動系の応答の標本関数とヒストグラム (モデル1) |
励振の標本関数とヒストグラム (モデル2) | 1自由度線形振動系の応答の標本関数とヒストグラム (モデル2) |