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学部対象: 電気電子工学概論 半導体デバイスII 集積回路設計

博士前期課程: 先端集積化デバイス工学

博士後期課程: 高機能集積デバイスエンジニアリング
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[1]
電気電子工学概論(専門基礎教育科目.1年生前期)

授業の目的

インターネットに代表される情報システムや通信システム,あるいは,コンピュータの中では情報やデータがディジタル化されて取り扱われています.この授業では,データがどのように表現されて,どのように演算・記憶されるのかなどをはじめとして,電子回路の基礎,ディジタル電子技術の全体像を学びます.
 
本講義の到達目標は以下のようです.
1. 抵抗,コンデンサ,コイルなどの電気部品の直流,交流電流に対する性質,および,それらを相互接続した場合の計算ができる.
2. 真性半導体,n型およびp型半導体とはどういうものかを説明できる.
3. MOSトランジスタの動作原理を説明できる.
4. バイポーラトランジスタの動作原理を説明できる.
5. トランジスタのスイッチ作用と増幅作用を説明できる.
6. 基本論理回路を真理値表とトランジスタスイッチ回路を用いて説明できる.
7. 真理値表から論理回路を実現できる.
8. ディジタル加算回路を説明できる.
9. コンピュータの基本構成と基本動作原理を説明できる.

授業の内容

はじめに,電気電子工学を学ぶのに必要な電気回路の基礎的な事項について学びます.次に,電子回路の基本的素子であるトランジスタと集積回路についての基礎を学びます.そして,データがどのように表現され,ディジタル回路で計算・記憶・通信がなされているのかを学びます.さらに,ディジタル回路の集大成であるコンピュータの構成や基本動作,および,その応用についても学びます.
1. 電気電子工学と社会との係り
2. 電気回路の基礎(1) 直流と交流
3. 電気回路の基礎(2) 回路計算の基礎
4. 電気回路の基礎(3) 
コンデンサとコイルの役目
5. トランジスタと集積回路(1) n型半導体とp型半導体
6
. トランジスタと集積回路(2) pn接合とダイオード
7. トランジスタと集積回路(3) トランジスタの動作原理
8. トランジスタと集積回路(4) トタンジスタの働き
9.
トランジスタと集積回路(5) 集積回路
10. ディジタル回路とディジタル信号処理(1) 2進数とディジタル回路
11. ディジタル回路とディジタル信号処理(2) 真理値表と基本論理回路
12. ディジタル回路とディジタル信号処理(3) ディジタル回路による加算・減算
13. ディジタル回路とディジタル信号処理(4) ディジタル回路による情報の記憶
14. ディジタル回路とディジタル信号処理(5) ディジタル回路による情報の通信
15. コンピュータの基本構成と動作
16. 期末試験

授業の進め方

講義のはじめの方では,高校で学習した電気分野の内容の復習も含めながら行います.理解を確かなものとするために,授業中に頻繁に演習を行います.また,学習効果を上げるため,適宜,小テストや課題レポートを出します.

授業キーワード

電子技術,電子回路,トランジスタ,集積回路,ディジタル回路,論理演算,数値演算,メモリ,コンピュータ

テキスト

電子工学概論−集積回路化時代の−,藤井信生,昭晃堂,ISBN4-7856-1180-4

参考文献

「やさしい電子と情報の基礎知識」(株)富士電機能力開発センター編 オーム社
ISBN4-274-03475-5.「電子回路」電気・電子・情報工学系テキストシリーズ 培風館
ISBN4-563-03683-8



[2]
半導体デバイスII(専門教育科目.3年生後期)

授業の目的

ワンチップパソコンなどと言われるように,システムそのものがシリコンの小片に搭載されるようになってきています.この授業では,このような集積回路を構成しているCMOSデバイスをはじめとする半導体デバイスについての初歩を学びます.
到達目標は以下のようです.
1. 半導体シリコンをn型あるいはp型にするにはどうしたらよいか説明できる.また,n型とp型半導体のエネルギーバンド図が描ける.
2. p型半導体とn型半導体を接合させたときの電子と正孔の振る舞いを説明でき,エネルーバンド図を描ける.
3. バイポーラトランジスタの動作原理と増幅作用を説明できる.
4. 半導体と金属を接合させたときの電子と正孔の振る舞いを説明できる.
5. MOS電界効果(蓄積,空乏,反転)についてエネルギーバンド図を用いて説明できる.
6. MOSトランジスタの動作原理を説明できる.
7. CMOSインバータの構成とその特徴を説明できる.
8. MOSトランジスタのスケーリング則を説明できる.

授業の内容

半導体単体の性質に加えて,伝導型の異なる半導体と半導体を接合させたpn接合,金属と半導体を接合させたMS接合,あるいは,金属と絶縁体と半導体を接合させたMOS構造などにするとどのような現象が出現するのかを学びます.そして,そのような現象を用いて,新たな機能を実現している半導体デバイスとして,バイポーラトランジスタ,ショットキー接合型電界効果トランジスタ,MOS電界効果トランジスタなどについて動作原理などの基礎を学びます.また,集積回路の基本素子となっているMOSトランジスタについては,その基本回路,および,性能向上のための微細化によって現れる特性のサイズ効果や高電界効果などのデバイス物理の初歩についても学びます.具体的な内容は次のとおりです.
1. 半導体の基礎
2. フェルミ統計
3. キャリア密度の温度依存性,半導体中の電気伝導
4
. pn接合で生じている現象
5. pn接合の電位・電界分布と空乏層容量
6. pn接合ダイオードの電流電圧特性,光とpn接合
7
. バイポーラトランジスタの動作原理と増幅作用
8. ショットキー接合で生じている現象
9. ショットキー接合の整流性とオーミック接触,ショットキー接合型FET
10. 半導体デバイス発展の歴史と社会へのインパクト,MOS構造

11. MOS電界効果で生じる現象
12. MOSの電位分布と表面キャリア密度
13. MOSダイオードの容量電圧特性
14. MOSトランジスタの動作原理,CMOSインバータ
15. MOSトランジスタの高性能化と寄生効果,将来の半導体デバイス
16. 期末試験

授業の進め方

理解を深めるために,演習を頻繁に行います.また,学習効果を上げるため,適宜,小テストや課題レポートを実施します.

授業キーワード

pn接合,ショットキー接合,MOS構造,バイポーラトランジスタ,MOSトランジスタ

テキスト

「半導体デバイスの物理」 岸野正剛 丸善 \3,708

参考文献

「半導体デバイス」S.M.ジィー(南日 他 訳) 産業図書 ¥6,000 ISBN4-7828-5525-7 C3055.
「新版基礎半導体工学」 國岡昭夫,上村喜一 朝倉書店 \3,000 ISBN4-254-22138-X C3055.
「例題で学ぶ半導体デバイス」 沼居貴陽 森北出版 \2,800 ISBN4-627-77361-7 C3055.



[3]集積回路設計(専門教育科目.4年生前期)

授業の目的

集積回路は身の回りのいたるところに使われており,私達の生活から切っても切り離せないものになっています.また,システム・オン・チップ,あるいは,システムLSIと言われるように,大規模なシステムそのものが半導体チップ上に構成されるようになってきています.したがって,集積回路が機器やシステムの性能を決定しているといっても過言ではない状況にあります.この授業では,そのような集積回路がどのようにして設計され,その回路がどのように半導体チップ上に構成されているのか,そして,どのように回路動作するのかを学びます.
到達目標は以下のようです.
1. CMOS製造プロセスの概要と使用されるフォトマスク構成の対応を説明できる.
2. 抵抗と容量が半導体内にどのように構成されているか説明できる.
3. CMOSインバータのスイッチング動作と直流入出力特性を理解し,論理閾値電圧や雑音余裕度について説明できる.
4. CMOSによるNANDゲートとNORゲートについて,論理動作,回路図,レイアウト図を理解できる.
5. 相補型スタティック論理回路の構成法を理解し,任意の論理関数から回路を構成できる.
6. ダイナミック論理回路の特徴を理解し,その構成と動作について説明できる.
7. 算術論理演算ユニット(ALU)の構成を理解し,加算・減算・論理演算機能が実現できることを説明できる.
8. スタティックフリップフロップ,および,ダイナミックフリップフロップの動作を説明できる.

授業の内容

集積回路はシステムであり,デバイス・プロセス・回路,論理回路,計算機構成などの知識を基にして設計されます.この授業ではこれらの基礎を学びます.具体的な内容は次のとおりです.
1. 集積回路の基礎(1) 集積回路と社会との係り,集積回路設計の流れとCAD
2. 集積回路の基礎(2) 半導体とMOSトランジスタ
3. 集積回路の基礎(3) フォトリソグラフィとレイアウトパターン
4. 集積回路の基礎(4) CMOS集積回路の製造工程とマスク構成
5. 集積回路の基本素子(1) 抵抗,容量,トランジスタ
6. 集積回路の基本素子(2) 論理の転送
7. 回路設計(1) 論理ゲートの評価基準
8. 回路設計(2) CMOSインバータ
9. 回路設計(3) NANDゲートとNORゲート
10. 回路設計(4) スタティック論理回路
11. 回路設計(5) ダイナミック論理回路
12. 論理設計(1) ALUの構成-加算,減算−
13. 論理設計(2) ALUの構成-論理演算,pブロック,Gブロック-
14. 論理設計(3) メモリ機能とレジスタ
15. 論理設計(4) データパスの設計
16. 期末試験

授業の進め方

学習効果を上げるため,講義以外に,適宜,小テストや課題レポートを実施します.

授業キーワード

集積回路,回路設計,論理設計,レイアウト設計

テキスト

「集積回路設計入門」國枝博昭 コロナ社 ¥2,884

参考文献

「集積回路B」荒井英輔 オーム社 ¥2,300 ISBN4-274-13162-9



[4]先端集積化デバイス工学(専門教育科目.博士前期課程1年生後期)

授業の目的

集積回路を構成している最先端CMOSデバイスについて,そのデバイス物理,デバイス設計法と製造法,デバイス信頼性の基礎のほかに,デバイスに何が求められているのか,デバイス応用上の課題などについて講義します.この講義により,CMOSデバイスの基礎を理解した上で,最先端デバイスの現状と課題,および,将来動向を理解することを目的とします.

授業の内容

具体的な内容は次のとおりです.
1. 世界の半導体市場,集積化デバイスの歴史,将来デバイス
2. MOS
電界効果とエネルギーバンド図
3. MOS構造の電位分布と電界分布
4. MOSキャパシタの容量電圧(CV)特性の基礎
5. 低周波CV特性,高周波CV特性の物理
6. 空乏層近似,
理想CV特性と実際との違い
7. CV特性を活用したMOS構造の評価
8. 可動イオン,界面トラップの評価技術
9. MOSトランジスタの動作物理と基本特性
10. スケーリング則とその限界
11. 短チャネル効果,狭チャネル効果,速度飽和
12. 高電界効果とデバイス信頼性
13. 極微細トランジスタ構造の推移
14. デバイス開発の実例
15. 最先端デバイスの紹介と今後の研究課題
16. 期末試験

授業の進め方

適宜,デバイス開発経験談,特許と論文の違い,デバイス最新情報などについても触れます.

授業キーワード

MOSCV特性,スケーリング,短チャネル効果,ホットキャリア効果,SOI

テキスト

資料を配布します.

参考文献

「半導体デバイス」S.M.ジィー(南日 他 訳) 産業図書 ¥6,000 ISBN4-7828-5525-7 C3055



[5]高機能集積デバイスエンジニアリング(博士後期課程1年生後期)

授業の目的

高機能情報システムを実現するためには,高速かつ低消費電力で情報処理ができるVLSIデバイスの開発が必須である.本講義では,高機能化のために行われているデバイス微細化技術の中で顕在化した回路性能やデバイス性能,信頼性に関わる重要な現象をその原理・物理に遡って講義し,新たなデバイス発想力養成のための基礎とする.さらに,微細化に依らずにシステム高機能化する技術として,今後,重要度が高まると期待される,SOISilicon on Insulator)やSiGe/Siヘテロ構造などの新構造・新材料を用いたデバイスエンジニアリングについて講義する.

授業の内容

具体的な内容は次のとおりです.
1. VLSIの概要(機能,構造,素子,プロセス)
    デバイス構造の変遷
    多層配線系の変遷
2. CMOSFET微細化の課題と対策
    短チャネル効果
    電源電圧と閾値電圧,バックゲート係数,速度飽和
    寄生容量と寄生抵抗
3. 信頼性劣化の物理と対策
    高電界効果,インパクトイオン化現象
    ホットキャリア効果(基板電流,デバイス劣化,発光)
4. 新材料・構造による高機能デバイス工学
SOIデバイス
 SOI基板
 ・低寄生容量化による高速・低消費電力化
 SOI固有のデバイス特性現象(基板浮遊効果の物理,ホットキャリア効果,短チャネル効果)
SiGe/Siヘテロ構造デバイス
 ・高キャリア移動度化による高速・低消費電力化
 ・バンドエンジニアリング(高キャリア移動度化の物理)
 ・製造プロセス
 ・雑音特性
 ・ヘテロ界面特性
5. 今後の展望(システムオンチップ,有機半導体)


担当講義