土壌養分試薬判定機の開発

現代の農業において、作物の生産性の安定化と土壌環境の健全性の保存とを両立させるためには、土壌診断は必要不可欠なものとなっている。今日では、農作物の作付け前には土壌診断を実施することが常識となり、その診断内容もpHを中心とした簡易診断から、高度な分析器を利用した多項目分析により養分バランスを診断する方法に変化している。加えて、土壌養分の過不足だけでなく、周辺環境への影響を考慮することが求められている。

近年、硝酸態窒素による地下水汚染が問題となっている。汚染の原因の一つとしては、農業用地等における肥料の過度な使用などが考えられている。これらの問題の対策としては、施肥量の適正化、減量化、有機肥料や遅効性肥料の導入があげられる。しかし、この方法を実現するには生産者が農地栄養状態を常時把握していることが必要となる。土壌管理を行うには定期的な土壌分析が必要であり、高精度な土壌分析方法としてはX線を用いた分析の他に、土壌から抽出した土壌成分液を各種の試薬により発色させ、分光光度計及び炎光光度計により吸収スペクトルや炎色反応を調べて含まれる各種成分の濃度を測定する方法がある。しかし、これらの方法ではX線を使用したり、分光スペクトルや炎色反応を調べるために、装置自体が複雑で大型、高価となるため、一部を除いて土壌分析は専門機関に依頼しているのが現状である。定期的な土壌分析には、精度よりも安価で簡便な方式が求められる。

簡単な土壌分析方法としては、土壌成分液を各種の試薬により発色させた後、比色表や比濁表にある基準濃度の色合いと比べて目視で成分濃度を判定する方法が挙げられる。この方法では安価で簡便な測定が行えるが、比色表や比濁表と比べる際の照明や測定者の主観等による誤差が生じるという欠点があり、信頼性が問題となる。そこでこれらの問題点を解決するために、3波長のLEDを用い発色した試薬の透過光強度から濃度を測定する簡単な光センサを開発することを目的として研究を行った。この方法では、土壌成分を検出する試薬に市販の製品を用い、これにより土壌から抽出した成分液を検出する成分ごとに異なる試薬により発色させて光センサにより透過光強度を測定する。この方法によって判定者の主観等により生じる誤差を取り除いて安定した測定が実現できる。

2017年03月15日