研究内容


液体搬送制御
自律移動ロボット
アクティブ吸振器


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液体搬送制御

 各種工程において自動化が望まれており,例えば,鋳物工場における溶鉱炉から注湯機までの溶湯(溶融金属)搬送や化学プラントにおけるパイプレス化による混合漕搬送に代表される液体搬送においても,その自動化が強く望まれている.
 生産性を考えると搬送時間は短い方が好ましいが,非合理な迅速化はかえって液面に大きな波(液面振動)を生じさせ,最悪の場合にはタンク内の液体が溢ることになる.これは,作業者を危険にさらすばかりではなく,液体が空気を巻き込むことによりその温度,成分が変化し,製品の品質が低下する.
 よって,液面振動の抑制を考慮した搬送制御が望まれる.

  • 速度制御による液体搬送制御
  •  スロッシング(液面振動)を簡単なメカニカルモデル(単振子,球面振子)で表現し,このモデルに対して制御系を構築する.この制御系により,タンクの搬送速度を制御することにより,スロッシングを抑え,かつ迅速にタンクを搬送する.制御ゲインは,搬送時間やスロッシング振幅を考慮した工学的仕様を考え,この仕様を満足するように最適化手法も援用して合理的に設計する.
  • タンク形状設計による液体搬送制御
  •  速度を直接制御するのではなく,タンク形状をスロッシング抑制に効果のある形状に設計する.スロッシングの挙動は境界要素法(BEM)を用いてモデル化し,その固有振動数(共振周波数)やタンク容量を考慮した設計仕様を考え,この仕様を満足するようにタンク形状を最適設計する.

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    自律移動ロボット

     ロボットの分野において,そのAI化(自律化)は重要な課題である.また,複数のロボットを一括集中管理するのではなく,各ロボットが意志を持ち互いに連絡して協力し合いながら作業を行う自律分散型システムが,そのフレキシブル性や信頼性の観点から注目されている.
     以下に主な研究項目を述べる.

  • 最短経路計画
  •  静的障害物に接触せず,かつ,最短となる経路を設計する問題を,遺伝的アルゴリズムを用いて解いている.経路はBスプライン曲線により与えている.
  • 制振経路計画
  •  静的障害物に接触せず,かつ,搬送物の振動を抑制する経路を設計する問題を,遺伝的アルゴリズムとPreshaping理論を用いる2手法によりアプローチしている.経路は,Bスプライン曲線(遺伝的アルゴリズム)と直線・円弧(Preshaping理論)により与えている.
  • 障害物回避
  •  経路設計時に存在していなかった静的障害物や動的障害物を回避するアルゴリズムを構築する.ファジィおよびニューラルネットワークを用いて,障害物を回避し,かつ,搬送物の振動を抑制する回避方法の開発を行っている.
  • 協調搬送制御
  •  1台では搬送が困難な重量の大きい大型搬送物でも複数台の搬送車を用いれば搬送することは可能となる.そこで,複数台の自律移動型搬送車を用いた協調搬送制御系の構築を行っている.

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    アクティブ吸振器

     搬送台車の回避行動によって発生する搬送物の振動を制振するアクティブ吸振器の開発を行っている.吸振器を用いることにより,不整地や傾斜面上を搬送車が走行した際にも搬送物を安定に,かつ,安全に搬送することが可能となる.

  • 2軸スウィング式吸振器
  •  進行方向と横方向に回転軸を有し,その回転軸中心に搬送物を傾斜させる2軸スウィング式吸振器を開発している.搬送物としては,振動し易く制振が困難な液体タンクを対象としている.搬送台車の加減速時や曲線経路走行時に発生する液面振動を,この吸振器を用いて制振させる.
  • パラレルリンク式吸振器
  •  パラレルリンク機構はベース部に全駆動モータを設置することができ,移動部分の軽量化が図れるので高速で高精度な位置決めを行うことができる.また,自由度が増しても積層型のアクチュエータに比べてコンパクトにできるという利点も持つ.以上の理由により,パラレルリンク機構を有するアクティブ吸振器の開発を目指している.

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