WWWによる情報公開が広く行われているので、サーチエンジンでキーワード検索を行うと、運が良ければ必要な情報を公開しているサイトが引っかかることもある。しかし、それは他力本願である上に、双方向のやり取りではないので一方的に情報を受け取るだけに終わることになる。自分から能動的に質問をしたり疑問を投げかけたりして情報を集めるためには、メーリングリストやネットニュースという方法がある。また、それらは、ただ単に情報を集めるだけでなく、趣味や目的を同じくした世界中の人間と討論や雑談を交わし、有意義なネット生活を送る上でも大切なアクセントとなる。
メーリングリストとは電子メールの転送機能を利用した多人数による議論の場である。通常は、特定のアドレスに電子メールを送ることにより、そのリストに加入しているアドレスすべてにメールが配送される。よって、情報をリストの参加者で共有することにより議論や討論、雑談などがその閉じたリストの中で参加者全員に周知されながら行われる。
メーリングリストを作成する目的は多々あり、仲間内で楽しく情報交換するため、企業などの商品についてサポートを行うため、組織内で会議の代わりに、など実際にいろいろな場面で利用されているが、最初の仲間内の意見交換から次第に発展して、特定の技術に関してわからないことを初心者が質問して、熟練者がボランティアで回答するという形式のものが増えてきた。正確な統計は無いが、日本で最大の参加者を有すると思われるLinuxユーザのメーリングリストでは1万人を越える登録者に毎日平均的に数10から100を越すメールが配送されている。そこではLinuxの利用に関しての質問などが多く、本来の意味での仲間内の情報交換という目的はすでにほとんど失われつつあるが、基本的にトラフィックの多い活発なメーリングリストというのはそのように質問と回答がなされるものに多いようである。
メーリングリストに参加するためには、自分でアドレスを登録する必要があり、その方法はwebなどに掲載されているはずである。興味を持つ分野などあればまずは参加してみて雰囲気をつかむことをお勧めする。ただし、メールを受け取る数が爆発的に増加する危険性も覚悟しておく必要がある。メーリングストが用意されているのは、パソコンなどの操作方法、特定の趣味に関する意見交換、特定の地域、地方に関する意見交換、福祉やボランティアなどの情報交換など、数え切れないほどである。サーチエンジンなどで探してみると良いかもしれない。
また、自分でメーリングリストを作成することも可能である。必要であれば、プロバイダなどに問い合わせてみると良い。また、営利目的でなく、学術性や公共性があるようなメーリングリストを作成したいという場合には縄手まで相談すれば、用意できる可能性もある。興味があれば申し出ること。
電子メールによるメーリングリストサービスは、自分で登録という作業を行うと自分のメールアドレスに次々とメールが送られてくる方式である。一方、ネットニュースというのは掲示板システムの巨大なものといえる。参加や発言に資格も手続きも必要なく、誰でも情報を読むことができるし、発言もできる。しかも、世界中に発言が配送される。メーリングリストよりも広い範囲にわたる情報交換の手法である。
経験したことがないとなかなか雰囲気がわからないと思うので、以下に島大のニュースサーバにある記事(記事はバケツリレー式に世界中を回っているが、各地のニュースサーバで受け渡しをするニュースグループを選別できる。島大は少し少ない。)を読む方法について説明する。
ニュースを読む(これを「購読する」という)方法はいくつかあるが、ここで紹介するのはXEmacs上で行うGnusという環境である。利用するためには、まず、~/.emacsに以下の記述を追加する。
;;Set up for tm & Gnus (load "mime-setup") (load "tl-misc") (require 'file-detect) (setq gnus-nntp-server "botan.ipc.shimane-u.ac.jp") (setq gnus-local-domain "shimane-u.ac.jp") (setq gnus-local-organization "Shimane Univ.") (setq gnus-use-generic-from t) (cond ((string-match "XEmacs" emacs-version) (setq toolbar-news-reader 'gnus) (setq toolbar-news-commands-alist (cons '(gnus . gnus) toolbar-news-commands-alist)) ))
M-x gnus
としてGnusを起動する。なお、上記のコマンドはXEmacsのモードラインでの操作であり、Altキーを押したままxを押し、その後でgnusと入力しEnterである。もしくは、Ktermなどのコマンドラインから
$ xemacs -f gnus &
としても良い。
上のような牛の絵が表示され、Gnusが起動する。起動には非常に時間がかかるので、何かおかしくなったと思うかもしれないが、じっと我慢して待つこと。そうすると、*Group*というバッファが表示され、本来のネットニュースではなくGnusが標準で持っている解説(英語)がニュースと同じ形式で表示される。使い方はそれを順番に読むことによってわかってくるが、ここではとりあえず以下の操作を行う。
メニューのGroups -> Listing -> List active fileを選択し、画面に購読可能なニュースグループ一覧を表示させる。これも非常に時間がかかるのでじっと待つこと。ニュースグループとは目的ごとに別れたネットニュースの細分項目のことであり、ピリオドによって区切られた各階層の略語で表される。(下図参照)
ニュースグループの数は膨大なので初めはとまどうかもしれないが、自分の読みたいグループだけ選べばよい。ここでは、まず、日本語で情報がやり取りされているニュースグループに限定して進める。例えば、以下の様なニュースグループを捜し出し、そのニュースグループにカーソルをおいてu(ユー)を押す。
fj.news.usage fj.os.linux
購読マークをつける作業が終わったらやはりメニューのGroups -> Delete bogus groupsを選択し、購読するニュースグループだけが表示されるようにする。(下図参照)
未読の記事があるグループは太字で表示され、未読の記事数が左側に示されている。適当なグループにカーソルをおいて、スペースキーを押すことにより、記事を表示できる。このとき、未読の記事が200以上ある場合には、そのうちのどれだけをとりあえず表示するか聞かれるので自分の好きな数字を入れて行けばよい。そのときに表示されるニュースは新しい方から設定した数字分であるので、記事の時系列を守って読みたければデフォルトのままにしておく。
記事の表示は画面を上下に分割して行われる。上側が記事の一覧であり、下側が記事の内容である。上側はデフォルトではスレッドと呼ばれる記事の流れをまとめて表示するようになっている。スレッドとはある記事に対してそれに対する返答(フォローアップと呼ぶ)を一連の流れとしてまとめたものであり、話の筋を追うのに適した表示方法である。一方、ここでメニューからThreads -> Toggle threaddingを選択すると、スレッド表示と時間順の表示が切り替わる。
記事は電子メールと似た形式であり、サブジェクトを持っている。しばらく読んでいると感覚がつかめてくると思うが、例えば、fj.news.usageではネットニュースの使い方がおかしい場合にそれに対して議論されているが、素人や人間的に未熟な人間の記事の書き方に対して批判が行われており、正当な批判に対してわがままな人間や甘えた人間が無駄な反論をする、という形式が多く見られる。人生勉強になるので、是非ともじっくりと購読することをお奨めする。(void氏の記事に共感できるようになると、人間として一人前か。)
記事はMewと同じように、スペースで先に進んでいき、nでは次の記事が表示される。(ただし、一つ前の記事に戻るのはGnusでは↑である。)自分が今読んでいるニュースグループの記事が無くなると、次のニュースグループに進むか聞かれる。また、全部の記事を読み終わらないで別のニュースグループに行きたい場合には、メニューボタンの一番右側にある「出口のドア」のボタンをクリックしてグループ選択画面に戻る。以下は同様である。
Gnusを終了するときには、*Group*画面のメニューボタンの一番右側の椰子の木のボタンを押して終了する。記事の投稿に関しては次回以降説明する。
メーリングリストやネットニュースに参加しているとフレームと呼ばれる出来事に頻繁に出会うことになる。それについては別ページで紹介するので是非読んでおいて欲しい。