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万有引力の原理が成り立たない? -磁石の落下-

何の変哲もないアルミのパイプ.その中にものを落とすと,万有引力の法則が間 違っているのか?落下速度が違うものがあります.その謎に迫ってみましょう.

ここで肝心なのは先ほど紹介した「電磁誘導」です.電気と磁気の相互作用がこ のただのパイプの中で重力に逆らうような仕事をしているのです.これについて は,自由落下の方程式を使ってちょっと詳しく調べてみます.

まずは,自由落下ですが,落下距離は物質の質量に関係なく時間のみに依存しま す.式は,


\begin{displaymath}
z ~=~ \frac{1}{2} ~g~ t^2
\end{displaymath} (1)

となります.1.6mの高さからものを落とすと,0.57秒で落下してしま いますね.アルミのパイプに端子の先と磁石を落とした場合について,時間を計 測してみましょう.磁石の場合には,パイプの中で重力に逆らう力が働いており, そのために落下速度が等加速度運動ではなく,等速運動になってしまっていると 仮定してみましょう.すると,式(1)は次のような式に変わります.


\begin{displaymath}
z~ =~ v~ t_0 ~+~ \frac{1}{2}~ g~ (t~ -~ t_0)^2
\end{displaymath} (2)

ここで,$t_0$は磁石がパイプの中を通過する時間です.未知の量は 式(2)の中の速度$v$と時間$t_0$です.未知の量が二つあったのでは, その値を求めることが出来ません.さて,どうすれば良いのでしょうか.考えて みましょう.



平成15年8月19日