私は横田研で大学院まで3年間学び、現在は自動車メーカーのマツダでクルマのボディ設計に携わっています。このように言うと「成績優秀でだったんだな」や「自分はそんな風になれない」と思う方がいるかもしれません。しかし、もともと私は大学にろくに行かず遊び1年留年している体たらくでした。そんな私が変わり成長できた横田研での3年間の体験を時間を追って書きます。

 その前に、【研究室選択時】から。
 このとき私はすでに留年していたので、考えたことは「大学で何が学べた?」や「自信を持って身についたと言えることは?」でした。すぐに思いついたことはコピペすることです。例えば、レポートは先輩のものを書き写したり、テストは過去問を一夜漬けで覚えるなどです。つまり、何も身についておらず、頭は高校生のときよりむしろ悪くなったとさえ感じていました。これに不安を覚えた私は「大学生最後の3年間くらい一生懸命やるか!」と思い、先生が熱心な横田研を選びました。

【学部4年生(B4)】
 まず印象深いことは大学院入試です。面接と軽いプレゼンのみでしたが、研究室名を3回言い直すほどボロボロだったので絶対に落ちたと思いました。結果は合格でしたが研究室の先輩とは対照的だったので、自分の能力の低さのあまりこの研究室に居ていいのか?と感じました。また、研究テーマではコピペの習慣が染み付いていたので、良くも悪くも先生の言われたように先輩がやっていたように、自分で深く考えることなく研究を進めていきました。しかし、先生も学生指導に熱心で、また先輩も一生懸命研究に打ち込んでいたので、この環境に身を置いただけでも他の人から学ぶところが多かったです。ただ今振り返ると、卒業論文も悪く言えばコピペの延長線上でした。

【大学院1年生(M1)】
 M1ではB4から研究テーマが変わり、これまでと同様にして研究を進めていました。しかし、見よう見まねで行なってきた私は、基礎を応用するところで行き詰まりました。ちょうどこのとき、レポート未提出と2度にわたる実験装置故障の悪対応の問題を引き起こした私は、多くの人に迷惑をかけ先生に本気で叱られました。当然の結果でした。これらの事件はマンオブザイヤー(不名誉)で高く評価され、他に圧倒的な差をつけて2018年度は私が受賞しました。ここが私の人生の転機だったと言えます。今回は本当に研究室にいられないと思いましたが、悪かったことを素直に受け止めるとともに研究に対する向き合い方も見つめ直し、真剣に取り組んで行きました。ここで研究が進まない原因は基礎である原理が理解できていないからだと気づき、論文を自分で読むなど自発的に研究と向き合うようになり、先生や先輩などと身のある議論ができるようになっていきました。研究に真剣に向き合い一生懸命すると内容が理解できるようになり、どんどん楽しくなっていきました。それに伴って研究も面白いように進んでいきました。
 この間に私は東京の展示会で200人以上の技術者の方々に研究内容の説明したり、学会ではポスター発表と口頭発表を3回行いました。展示会では分かりやすく人に説明する能力を伸ばすことができ、ポスター発表や就活で威力を発揮しました。また、学会の予稿作成では自分の至らない文章を先生に何度も修正してもらい、徐々に上手く書けるようになっていきました。パワーポイントやポスターの作成でも図の作成能力や分かりやすく伝える能力を向上させることができました。これにとどまらず日々の報告書や後期の報告会でも能力を大きく向上していきました。

【大学院2年生(M2)】
 M2ではB4の4人に基礎を教えていましたが、そのときに説明できないと気づくことも多々あり、ともに勉強していきました。就活で大きく困ることはありませんでした。なぜなら、就活の戦略を先生から教えてもらい、また研究を進めてきた成功体験とそれに伴う考え方があったからです。そして、これまでと大きく変わっていたことは自分に自信がついていたことであり、この頃からか友達や親などからも人が変わったと言われるようになりました。
 M2では思うように研究を進められるようになりました。行き詰まったときをチャンスと思い、ここで折れずにどれだけ考えるかが大切と思うようになりました。実際詰まると精神的にキツいですが、これを乗り越えて思い通りに進んだときはすごく楽しかったです。最後の修士論文はどたばたでしたが、なんとか書き上げました。
 大学院の2年間で私は国内学会3回、国際会議3回、展示会1回も成長する機会を先生に与えてもらい、この研究成果により大学院の奨学金も半額免除となりました。何度も悩むことがありましたがその節々で先生からの励ましやサポート、また研究室の仲間に支えられて乗り越えることができました。

【最後に】
 結果として私は第一希望の就職先と奨学金の半額免除を手に入れました。しかし、私はこれらよりも横田研での研究で身につけた考え方と経験が財産です。なぜなら、物事を真剣に学ぶ姿勢・考え方、一生懸命やることで得られるものの大きさを知ることができたことは、どの仕事でも通用するからです。また、このご時世いつ会社が倒産してもおかしくありません。そこで、頼りになるのは自分の能力、つまりどれだけ自分を成長させられたかです。
 「成長したいですか?」成長したいという気持ちを持って横田研で3年間取り組めば、現在から大きく成長できると確信しています。学生のことを思い、いかに成長させるかを一番考えている先生は横田先生です。
 さて、「大学生最後の3年間くらい一生懸命やるか!」