第一原理計算を始めるには
第一原理計算を始めるには
実際に第一原理計算を行うのにまず必要なのは、ソフトとそれを動かす計算機です。ソフトについては数多く の選択肢があり、 xTAPP 、PHASE/UVSOR、 pwscf、ABINIT、openmxなどが無料で配布されており、またVASP、CASTEP、SIESTA、Wien2kなどは代理店によって有償で市販もされています。それぞれのソフ トには計算手法や計算できる物理量に違いがありますので、自分の必要とするものに最適なものを選ぶ必要があります。
計算機に関しては、いくつかのソフトは Windows 上でも動くので、ちょっとした計算であれば手持ちのパソコンでも計算可能です。しかし、少し本格的に計算を行おうとすると、やはりそれなりの専用計算機があったほうがよいでしょう。ただし、特殊な計算機が必要なわけでなく、こうしたソフトの多くは Linux の上で動きます。また、大学所属であれば、大学間共同利用の大型コンピュータがありますので、利用登録してこれらを使うこともできます。
環境が整えば、インストールはソフトのマニュアルの指示に従えば良いです。市販ソフトは CD を入れてインストーラを動かすだけのようになってきていますが、コンパイルの必要なものも多いです。PHASE/UVSOR の場合を例に取ると、openmpi と Fortran 90コンパイラをインストールした環境で、install.shを起動してコンパイルしないといけません。このようなことを行うにはLinuxの知識が必要ですが、こうしたことが面倒だったり予算に余裕がある場合はインストール作業を業者に頼んだり、インストール 済みの専用マシンを購入することも可能な時代となっています。
インストールが終わったら添付されているデモやサンプルデータを用いて実際に計算をして、動作確認をすることになります。サンプルデータがあればその中身を適宜替えてみることで、プログラムの動かし方に慣れることができます。