第一原理計算
第一原理計算
物質は電子と原子核でできています。電子は、原子核に比べて1/1000から1/100000の質量でとても軽く、原子核の隙間を高速に飛び回ることで、物質の主たる性質を決定しています。ですので、物質の中での電子の運動がわかれば、物質の性質を予言することができます。
電子の運動は量子力学に従います。第一原理計算は、量子力学のシュレディンガー方程式に則って、 そのような物質の中の電子の運動をコンピュータの力を借りて計算する方法です。そして、計算した電子の運動から、さまざまな物質の性質を求め、調べることができます。
第一原理計算は、未知の物質の性質の探索や、実験では測定のできない原子スケールの物理現象を調べることができるので、大変強力な研究手法です。
第一原理計算の動作原理
・ 多体相関
・ 平面波基底
・ 擬ポテンシャル
・ 自己無撞着計算(self-consistent calculation)
第一原理計算を行うに当たって知っておきたいこと
・ 計算の怖さ
第一原理計算を使うと何がわかるのか、どんな役に立つのか
第一原理計算と良く似た手法に、量子化学計算があります。量子化学計算は、化学の分野で発展してきたため、原子・分子・高分子を主たる計算対象としています。一方、第一原理計算は、物理の分野で発展してきたため、固体・表面・界面を主たる計算対象としています。
第一原理計算は近年急速な進展を見せており、誘電率や非線形光学応答、スピン軌道相互作用、ノンコリニア磁性、ファンデルワールス力、ラマン振動数、フォノンスペクトル、電子格子相互作用、超伝導転移温度など、新たな物性量の計算が次々に可能となってきています。