計算の怖さ
計算の怖さ
計算機やソフトというものの性質上、計算はデータを入力するとそれに応じて一対一で結果が出てくるものです。この事実はしっかりと認識しておく必要があります。入力データを決定した時点で結果を決めたことになり、計算する前から結果はわかっていると言うことになるからです。
この点は、実験とは全く違います。実験では、その結果は必ずなんらかの実際の物理現象を反映したもので、予想外の結果は大発見となりますが、理論計算の場合はそんなことはあり得ません。どうしてそうなるのかよくよく考えてみれば必ずコロンブスの卵のように物理的な説明がつきますし、もしそうでなければその結果は物理的に間違っていることになります。
ですので、入力データをまず最初にしっかりと考えないと、その結果はまったくの机上の空論に終わることになります。これが理論計算の怖さです。実際の物理現象をまずよく理解し考えたうえで入力データを作らなければなりませんし、計算結果が出てきたときにもその結果を鵜呑みにせず、それが入力データの任意性からくるのか、計算精度の問題なのか、正しく物理的な背景があって現れたものなのか、十分に吟味する必要があるのです。