研究(より詳しく)
研究(より詳しく)
「最先端物理探求による、より賢くより低消費電力な電子部品の実現を目指して」
最先端の物理を探究してその知識を下に、第一原理計算を中心とした計算科学的手法を駆使して最先端電子部品材料の研究を進める、先端電子材料設計の研究を行っています。
電子部品の発展は常に物理学の発展と共にありました。ショックレー、 ブラッテン、 バーディ−ンによる最初の電子部品(トランジスタ)の発明は、ハイゼンベルクやシュレディンガー、ディラックなどによってちょうどその当時明らかになってきていた量子力学が礎となったものでした。トランジスタの発明はその後、様々な物理現象を発見する実験装置の構築に不可欠なものとなり、電子部品の発展が物理学の発展を支えてきたと言っても過言ではありません。一方で、電子部品はその時々の最先端の物理の成果を結集したものであり、物理学の成果を社会に役立てる手段ともなっています(電子部品の発明に対するノーベル賞、電子部品の発展に関わったノーベル賞)。
第一原理計算は、物質の中の電子の運動をその根本原理である量子力学に基づいて計算することで物質の性質を詳細に予測する手法で、近年急速に進歩している手法です。次々に開発されている最先端の計算手法を取り入れながら、世界トップクラスの外部の共同利用施設のスーパーコンピュータ等を利用することで、ワールドクラスの研究に取り組もうとしています。
これまで特に、集積回路に使われているシリコントランジスタの材料制御(シリコン熱酸化過程、シリコンの表面を燃やしてシリカガラスを作る方法)について、原子レベルでのメカニズムを解明して教科書を書き換え、半導体産業の飛躍的発展に貢献する成果を上げています。
現在は、 例えば太陽電池で動く反応が早くて賢いスマートフォンのような、環境に優しく性能の良い「グリーンエレクトロニクス」や様々なモノを賢くする「スマートエレクトロニクス」の実現を目指した、高性能なのに低消費電力・高電力効率な電子部品、あるいは低消費電力でコンパクトな脳型コンピュータを実現する電子部品(神経型デバイス)、さらには従来とは全く異なる未来のコンピュータの電子部品(量子コンピュータ)に関わる先端電子材料の理論研究を推進しながら、結晶の並進対称性が破れた表面界面に現れる構造的素励起の物理の探究を行っています。
具体的には
(1)低消費電力化・超高集積化が可能なシリコンナノワイヤ等を用いた立体デバイスの材料制御
(2)超低消費電力・超高速トランジスタ材料として期待される二次元物質(グラフェン、h-窒化ホウ素、遷移金属ダイカルコゲナイド、シリセン等)を用いた単原子層デバイスの材料制御
(3)超高速トランジスタ材料として期待されるGeの材料制御
(4)低消費電力なスピンデバイス材料として期待されるパラジウムナノシートの材料制御
(5)高エネルギー効率パワーデバイス材料SiCの材料制御
(6)高効率でハイパワーの紫外・X線レーザー材料窒化物半導体の材料制御
(7)神経型デバイス材料の研究
(8)量子コンピュータの材料研究
(9)第一原理計算手法の探求
などの研究を、外部の大学や企業とも協力して進めています。
これまでの修士論文題目、卒業研究題目はこちら。
共同研究先: 名古屋大学、東北大学、 関西学院大学、慶應義塾大学、GWJ、三重大学、NTT物性科学基礎研究所、徳島大学、静岡大学、九州大学、金沢工業大学、筑波大学、東京大学、等